判旨
死刑を定めた刑法の規定は、日本国憲法第36条が禁じる「残虐な刑罰」には該当せず、憲法に適合する。
問題の所在(論点)
刑法第240条(強盗殺人罪)の法定刑として死刑を規定していることは、憲法第36条が絶対的に禁止する「残虐な刑罰」に該当し、憲法違反となるか。
規範
刑罰としての死刑そのものは、直ちに憲法第36条にいう「残虐な刑罰」に該当するものではない。生命は尊貴ではあるが、公共の福祉のために生命の権利が制限されることは憲法上想定されており、法が定める適正な手続に従って科される死刑の規定は合憲である(昭和23年3月12日大法廷判決の判例を維持)。
重要事実
被告人A、B、Cは、強盗殺人罪(刑法第240条後段)等の罪に問われ、第一審および控訴審において極刑(死刑)の判決を受けた。被告人Aの弁護人は、強盗殺人の罪に対して死刑を定めている刑法第240条の規定は、憲法第36条が禁じる残虐な刑罰に該当し、違憲無効であるとして上告した。
あてはめ
最高裁大法廷(昭和23年3月12日判決)の判例を再確認し、死刑という刑罰そのものが残虐な刑罰に当たらないという解釈を維持した。本件における強盗殺人罪の死刑規定についても、この判断枠組みに従い、憲法第36条に違反するものではないとした。また、被告人らの具体的な犯情を検討しても、極刑を選択した量刑判断は止むを得ないものであり、不当ではないと判断した。
結論
刑法第240条が死刑を規定していることは憲法第36条に違反しない。したがって、被告人らの上告を棄却する。
実務上の射程
死刑制度の合憲性に関する再確認判決であり、司法試験においては憲法第36条の「残虐な刑罰」の意義、および生命の権利に対する制約の限界(憲法第13条、第31条との関係)を論じる際の前提となる判例である。死刑の執行方法や、著しく不相応な量刑がなされた場合に「残虐」となり得る可能性とは別個に、制度そのものの合憲性を論じる際に引用する。
事件番号: 昭和28(あ)997 / 裁判年月日: 昭和28年9月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は、日本国憲法第36条が禁止する「残虐な刑罰」には当たらない。過去の大法廷判決の判例を維持し、死刑の合憲性を認めるべきである。 第1 事案の概要:被告人A及びBは、第一審・第二審において死刑の判決を受けた。これに対し弁護人は、死刑は憲法36条が禁止する残虐な刑罰に該当するものであり、死刑を…
事件番号: 昭和45(あ)293 / 裁判年月日: 昭和47年2月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度そのものは憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」には当たらない。また、強盗殺人罪等の重大な犯罪に対して死刑を科すことは、諸般の情状を考慮した上でやむを得ない場合には憲法上許容される。 第1 事案の概要:被告人は強盗殺人等の罪に問われ、一審および二審において死刑の判決を受けた。弁護人は、死刑制度そ…