所論は原判決が第一審判決の量刑を容認したのに対し、それは単なる量刑の問題ではなくして刑法二四〇条の真意を誤り実体法の適正な適用をしなかつたものであるから憲法三一条に違反するものであると主張するのである。しかしこの主張もまた第一審判決が実体法の適正な適用をしなかつたというに帰するものであつて、そして右主張は原審で申立てず且つ原審の判断を経なかつたものであるから、原判決に対する不服の申立として不適法であると断ぜざるをえない。
原判決が第一審判決の量刑を認容したのは実体法の適用の問題で憲法三一条に違反すとの主張の適否
刑訴法405条,憲法31条
判旨
判決において罪となるべき事実を認定する過程で、証拠に基づき認定した「中間的な事実」を、更なる事実認定の資料(間接事実)として用いることは適法である。
問題の所在(論点)
裁判所が認定した「中間的な事実」を、罪となるべき事実を認定するための証拠資料(間接事実)として用いることの是非が問題となる。
規範
裁判所が証拠に基づき認定した「中間的な事実」は、訴訟法上の証拠そのものではないが、罪となるべき事実(主要事実)を認定するための推認資料として供することができる。
重要事実
第一審判決は、証拠に基づき「被告人AがB方に現金が沢山あることを聞いた」という事実を認定した。その上で、この事実を前提(中間的事実)として他の証拠と総合し、強盗致死等の罪となるべき事実(「その余の事実」)を認定した。これに対し弁護人は、事実を事実認定の証拠とすることは不当であると主張して上告した。
あてはめ
本件で第一審が認定した「被告人がB方の金銭情報を得ていた」という事実は、挙示された各証拠に基づき導き出されたものである。これは訴訟法上の証拠自体ではないが、判示事実を認定するに至る中間段階で認定された事実(間接事実)に該当する。証拠に基づくものである以上、これを他の証拠と総合して最終的な犯罪事実の認定に用いることは、合理的な推認過程として適法と解される。
結論
証拠に基づき認定された中間的事実を事実認定の資料に供することは適法であり、本件第一審の認定手法に違法はない。
実務上の射程
間接事実による主要事実の推認過程の正当性を基礎付ける判例。答案では、証拠から直接主要事実を導くのが困難な場合に、証拠→間接事実(中間的事実)→主要事実という段階的な認定が許容されることを説明する際に活用できる。
事件番号: 昭和26(れ)2267 / 裁判年月日: 昭和27年3月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白と補強証拠を総合して犯罪構成要件に該当する事実が認定できるならば、自白の各部分について個別に補強証拠を必要とするものではない。 第1 事案の概要:被告人は、昭和21年4月24日に犯意を継続して強盗殺人と強盗殺人未遂の罪を犯したとして起訴された。原審は被告人の自白のほか、他の証拠を総合し…