判旨
大赦令の施行により公訴事実の一部について大赦があった場合、当該部分については免訴を言い渡すべきであり、その余の罪と牽連関係等にあるときは原判決を破棄した上で改めて刑を量定すべきである。
問題の所在(論点)
公訴事実の一部について大赦があった場合に、裁判所はどのような裁判をすべきか。また、大赦の対象外である残余の罪が免訴対象の罪と牽連関係にある場合の処理が問題となる。
規範
特定の罪について大赦(昭和27年政令第117号大赦令等)がなされた場合、当該事実に係る公訴については免訴の言渡しをすべきである。また、複数の罪が手段結果の関係(牽連犯)等にある場合において、一部の罪が免訴の対象となったときは、残余の事実について改めて法律を適用し、刑を画定する必要がある。
重要事実
被告人A、B、Cらは、物価統制令違反、公文書偽造・同行使、詐欺等の罪に問われていた。原審判決後、昭和27年4月28日に大赦令が施行された。この大赦令により、被告人らが犯した罪のうち、硫酸アムモニアやゴム長靴の取引に関する物価統制令違反(およびその幇助)の点について大赦がなされた。一方で、公文書偽造・同行使および詐欺の点については大赦の対象外であった。
あてはめ
本件公訴事実のうち、物価統制令違反の点については大赦令により大赦があったことが認められるため、職権により旧刑訴法(施行法により適用)に基づき免訴を言い渡す。一方で、公文書偽造および同行使の事実は依然として成立し、これらは手段と結果の関係(刑法54条1項後段)にある。したがって、大赦の影響を受けないこれらの罪について、改めて偽造公文書行使罪の刑等に従って量刑を行うべきである。Aには前科による加重を、Cには情状による酌量減軽を適用し、BおよびCには執行猶予を付すのが相当である。
結論
物価統制令違反の点については免訴とし、大赦の対象外である公文書偽造・同行使および詐欺の点について、被告人らをそれぞれ懲役刑に処する(B・Cは執行猶予)。
事件番号: 昭和26(あ)1336 / 裁判年月日: 昭和28年3月26日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部に大赦があった場合、当該部分については免訴の言渡しをすべきであり、大赦の影響を受けない他の犯罪事実については、別途法令を適用して有罪判決を下すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令違反、臨時物資需給調整法違反、および公文書偽造・同行使の罪に問われていた。第一審判決後、控…
実務上の射程
実務上、訴訟継続中に大赦が行われた場合の標準的な処理(免訴)を示す判例である。答案上は、複数の罪が成立する場合に一部の罪に免訴事由が生じた際の刑の算定プロセスを確認する資料として機能する。
事件番号: 昭和27(あ)4502 / 裁判年月日: 昭和28年2月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】物価統制令違反の罪について大赦があった場合には、刑事訴訟法に基づき、判決で免訴を言い渡すべきである。また、複数の犯罪事実のうち一部に免訴の事由があるときは、その部分を免訴し、残余の事実について刑を適用する。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反(同令3条、4条、33条違反)および詐欺、横領の罪…
事件番号: 昭和27(れ)128 / 裁判年月日: 昭和27年10月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】併合罪の関係にある罪のうち、一部の罪について大赦による赦免があった場合、裁判所は当該部分について免訴を言い渡し、残りの罪について刑を再画定すべきである。本判決は、公文書変造・行使・詐欺の罪と物価統制令違反の罪が併合罪として処理されていた事案において、後者のみを免訴とした。 第1 事案の概要:被告人…
事件番号: 昭和27(あ)5217 / 裁判年月日: 昭和28年4月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合には、裁判所は刑事訴訟法337条3号に基づき、当該事実について免訴の判決を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令3条違反および詐欺の罪に問われ、第一審および控訴審において有罪判決を受けた。しかし、上告審係属中に「昭和27年政令第117…
事件番号: 昭和26(あ)920 / 裁判年月日: 昭和27年10月10日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人の行為について、起訴後の政令等により大赦がなされた場合には、刑罰権が消滅するため、裁判所は実体判決をなさず免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反の事実に問われていたが、上告審係属中の昭和27年4月28日に、政令第117号「大赦令」が施行された。同令1条87号によ…