強盗が数人を殺害しようと決意し、続け様に三発拳銃を発射して一名を死亡させ他の一名に傷害を与えたとき、刑法第五四条第一項前段にあたる強盗殺人、同未遂であるとした原審の判断は相当である。
想像的競合にあたる一事例
刑法54条1項前段,刑法240条,刑法243条
判旨
憲法38条2項にいう「不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白」に該当し証拠能力が否定されるためには、長期の抑留・拘禁と自白との間に因果関係があることを要する。抑留・拘禁以前、またはその初期段階から一貫して自白がなされている場合には、因果関係が否定される。
問題の所在(論点)
勾留状執行当日からの自白や、その後の公判における継続的な自白が、憲法38条2項にいう「不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白」として証拠能力を否定されるか。具体的には、長期の拘束と自白との間の因果関係の要否が問題となる。
規範
憲法38条2項が「不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白」の証拠能力を否定する趣旨は、長期の拘束による精神的苦痛等から生じる虚偽自白を排除し、身体の自由を保障する点にある。したがって、本規定の適用には、不当に長い抑留・拘禁と自白との間に因果関係があることが必要である。
重要事実
被告人は昭和21年5月18日に勾留状が執行されたが、その当日、検察官に対して本件犯行の全部を自白した。その後、予審、第一審、差し戻し前の控訴審、および差し戻し後の控訴審の公判を通じて、一貫して同様の自白を繰り返していた。弁護人は、この自白が不当に長い拘禁後のものであるとして証拠能力を争った。
あてはめ
本件において、被告人は勾留状執行の当日という拘禁の極めて初期の段階で既に自白を行っている。また、その後の予審や各審級の公判においても終始一貫して自白を繰り返している。このような事実経過に照らせば、所論のような長期の勾留が自白を誘発したという関係は認められず、長期の拘留と自白との間には因果関係がないことが明らかである。
結論
本件自白は憲法38条2項にいう「不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白」には当たらない。したがって、証拠能力を認めた原判決は正当である。
実務上の射程
自白の証拠能力(任意性)を争う際、憲法38条2項の適用については、単に拘束期間の長さだけでなく、自白に至る経緯や時期との因果関係を論じる必要がある。勾留初期の自白が後の自白と一貫している場合、本判例に基づき因果関係が否定されやすい。
事件番号: 昭和27(あ)6482 / 裁判年月日: 昭和29年5月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】身体の拘束が不当に長い場合であっても、その拘束と自白との間に因果関係が認められないときは、憲法38条2項によりその自白を証拠とすることが禁止されるものではない。 第1 事案の概要:被告人が身体を拘束された状態で自白を行った事案において、弁護人は当該身体拘束が不当に長いものであるとして、憲法38条2…