判旨
賭場開帳図利罪において、場所を異にする複数の開帳行為がそれぞれ別個の意思活動に基づくものである場合には、単一の意思に基づく包括的一罪とは認められず、併合罪となる。
問題の所在(論点)
場所を異にする複数の賭場開帳図利行為について、それらが単一の意思に基づく包括的一罪となるのか、それとも別個の意思に基づく別個の行為として併合罪となるのか(刑法186条2項、45条)。
規範
数個の行為が包括的一罪(一税)となるか、あるいは別個の罪(併合罪)となるかは、当該行為が単一の犯意(意思)に基づくものであるか、および行為の態様が時間的・場所的に連続した一連のものと評価できるかによって決すべきである。
重要事実
被告人は自ら主宰者として賭博場を開帳し、利益を図った。被告人には本件以外にも複数の賭場開帳図利の事実(所論一乃至五の事実)があったが、これらは本件とは異なる場所で行われていた。弁護人は、これら一連の行為が単一の意思に基づく包括的な一行為であると主張して上告した。
あてはめ
本件における各賭場開帳図利の事実は、それぞれ賭場を異にしている。また、これらの行為はそれぞれ別個の意思活動に基づき行われたものであり、単一の意思に基づく一連の活動とは認められない。したがって、各行為は独立した別個の行為と評価されるべきである。
結論
本件の賭場開帳図利の事実は、他の開帳事実とは別個の意思活動に基づく別個の行為であり、包括的一罪とはならないため、併合罪として処断した原判決に誤りはない。
実務上の射程
常習賭博罪(186条1項)が包括的一罪とされるのに対し、賭場開帳図利罪(186条2項)についても「常習性」が背景にある場合があるが、本判例は場所や意思の個別性に着目して罪数判断を行う実務上の基準を示している。答案上、数個の開帳行為がある場合は、場所の同一性と犯意の単一性を検討する際の指標となる。
事件番号: 昭和25(れ)1566 / 裁判年月日: 昭和26年1月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】確定判決によって画される既判力の範囲は、併合罪の関係にある個別の犯罪事実には及ばず、確定判決前の余罪であっても併合罪となる以上、別罪として処罰することが可能である。 第1 事案の概要:被告人Eは、昭和23年1月4日から10月22日頃までの間、賭博行為を反復していた。被告人は同年7月22日に賭博罪に…
事件番号: 昭和31(あ)2823 / 裁判年月日: 昭和35年3月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賭博場開張図利罪(刑法186条2項)の成立には、利益を得る目的が存在すれば足り、現実に利益を得たか否かは問わない。また、現実に寺銭を徴収した事実が認められれば、営利の目的があったことは自明であり、別途詳細な判示を要さず同罪が成立する。 第1 事案の概要:被告人は、賭場を開張して参加者から寺銭(手数…
事件番号: 昭和26(れ)1608 / 裁判年月日: 昭和26年11月6日 / 結論: 棄却
原判示によれば、被告人Aが昭和二二年六月二六日と翌二七日の両日に亘つてBのために寺銭を徴収して同人の賭博開帳図利の所為を幇助したことが明らかであるから、所論のように寺銭の額や徴収の方法を一々判示しなくても賄場開帳図利幇助の犯罪事実の摘示として十分である。