原判示によれば、被告人Aが昭和二二年六月二六日と翌二七日の両日に亘つてBのために寺銭を徴収して同人の賭博開帳図利の所為を幇助したことが明らかであるから、所論のように寺銭の額や徴収の方法を一々判示しなくても賄場開帳図利幇助の犯罪事実の摘示として十分である。
胴元のために寺銭を徴収することと賄場開帳図利幇助剤の判示方
刑法186条2項,刑法62条,旧刑訴法360条1項
判旨
賭博の常習性とは、反復して賭博を行う習癖をいい、前科の存在や犯行の態様等から総合的に判断される。また、平素正業に従事している者であっても、賭博の常習性を肯定することは妨げられない。
問題の所在(論点)
刑法186条1項の常習賭博罪における「常習性」の判断基準、および正業に従事していることが常習性の認定に及ぼす影響が問題となる。
規範
刑法186条1項にいう「常習」とは、賭博を反復して行う習癖があることを指す。この常習性は、被告人の賭博前科の有無・回数、犯行の動機、態様、性格等の諸般の事情を総合して、経験則に照らし判断すべきものである。なお、平素正業に従事しているという事実は、常習性の認定を直ちに妨げるものではない。
重要事実
被告人Dは、過去に3回に及ぶ賭博の前科を有していた。それにもかかわらず、再び本件の賭博に及んだ。被告人側は、被告人が平素正業に従事していること等を理由に常習性を否定したが、原審は前科等の事実に照らし、常習として賭博を行ったものと認定した。また、他の被告人らについても、賭博場開帳図利の幇助行為(場所の斡旋や寺銭の徴収)が認定され、上告に至った。
事件番号: 昭和24(れ)2416 / 裁判年月日: 昭和25年4月7日 / 結論: 棄却
賭博の前科の外に賭博常習性を認定する資料のある場合には、たといその前科の事實は十年以前のものであつても之を賭博常習性認定の資料に供することは差支えない。
あてはめ
被告人Dには3回の賭博前科があり、前科があるにもかかわらず短期間のうちに本件犯行に及んでいる事実は、反復して賭博を行う習癖を示す強い証拠といえる。このような事実関係に基づき常習性を肯定することは、経験則に照らして合理的である。また、平素正業に従事している場合、統計的に常習性が認められる蓋然性は低くなり得るものの、正業の存在が常に常習性の認定を否定するという経験則は存在しない。したがって、前科等の他の事情から習癖が認められる以上、常習性を肯定できる。
結論
被告人が常習として賭博を行ったと認定した原判決に違法はなく、常習賭博罪の成立を認めた判断は妥当である。また、寺銭の徴収等の行為をもって賭場開帳図利幇助罪の成立を認めた点も正当である。
実務上の射程
常習性の認定手法(前科重視)と、正業の有無という弁護側の定番の反論に対する判断枠組みを示したものである。実務上、常習性の判断では、回数だけでなく、前科の内容や犯行の間隔といった「習癖」を推認させる客観的事実を積み重ねることが重要となる。答案上では、前科の存在から習癖を認定し、正業等の事情を考慮してもその習癖が否定されないという論理構成で活用できる。
事件番号: 昭和23(れ)34 / 裁判年月日: 昭和23年4月6日 / 結論: 棄却
被告人は昭和四年四月より同一四年一月までの間に賭博罪で六回、同一五年二月より同一九年二月までの間に賭博開帳常習賭博罪又は常習賭博罪で四回處罰されたものであつて、賭博の習癖は相當根強いものであることを窺い知ることができる。原審においてかかる前科にてらし本件賭博を常習賭博と認定したことは正當であつて、論旨の如き違法は認めら…