賭博の前科の外に賭博常習性を認定する資料のある場合には、たといその前科の事實は十年以前のものであつても之を賭博常習性認定の資料に供することは差支えない。
賭博常習性を認定するにあたり十年前の賭博の前科を一資料とすることの可否
刑法186條1項,舊刑訴法336條,舊刑訴法337條
判旨
常習賭博罪における常習性は、被告人の前科のみならず、犯行の動機や態様に関する供述等を含めて総合的に判断すべきであり、10年以上前の前科であっても他の証拠と併せて認定資料に供することができる。
問題の所在(論点)
刑法186条1項の「常習性」を認定するにあたり、10年以上前の古い前科を、他の証拠と併せて認定資料とすることが許されるか。
規範
刑法186条1項にいう「常習」とは、賭博行為を反復累行する習癖をいい、その有無は被告人の前科の有無・内容のみならず、犯行の動機、目的、態様、頻度等の諸般の事情を総合して判断される。前科が相当以前のものであっても、他の具体的な常習性を示す証拠が存在する場合には、これを認定資料とすることは経験則に反しない。
重要事実
被告人は常習賭博罪で起訴された。原審は、被告人の賭博の前科(約10年前のもの)に加え、司法警察官の訊問調書における「最近博奕場に出入りするようになり、顔役となって親師も務めるようになった。一儲けするつもりでやった」という被告人の供述を総合して、常習性を認定した。これに対し弁護側は、10年前の前科を常習性の認定資料とすることは実験則に反すると主張して上告した。
あてはめ
本件において、被告人には10年前の賭博前科が存在する。これに加えて、被告人自らが「顔役として親師(親分役)を務めるようになった」「一儲けするつもりであった」と、単なる一時的な娯楽を超えた反復継続の意思と態様を供述している事実に照らせば、前科と現況には習癖の連続性が認められる。したがって、古い前科を他の供述証拠と総合して習癖の認定に用いることは、論理的かつ合理的であり、実験則に違背するものではない。
結論
10年以上前の前科であっても、他の証拠と総合して常習性を認定する資料とすることは適法である。
実務上の射程
常習犯(常習賭博、常習累犯窃盗等)の習癖認定において、前科の「時間的隔たり」のみをもって直ちに証拠能力や証明力が否定されるわけではないことを示す。答案上は、前科と本件犯行との間を繋ぐ「現在の状況(態様・動機)」を指摘し、両者を総合して「反復累行の習癖」を基礎づける際の論理として活用できる。
事件番号: 昭和24(れ)1135 / 裁判年月日: 昭和25年3月10日 / 結論: 破棄自判
論旨は原判決適條に「被告人A、同Bの判示所爲は各刑法第一八六條第一項に該るからその所定刑期範圍内で被告人A、B、C、Dを各懲役六月に處し云々」と記載し被告人C、Dに對する適條を遺脱しおれり、右は刑事訴訟法第三六〇條、第四〇七條、第一〇九條に違反し原判決は破毀を免れざるものと思料す、というのであるが、原判決の適條をみると…
事件番号: 昭和26(れ)1608 / 裁判年月日: 昭和26年11月6日 / 結論: 棄却
原判示によれば、被告人Aが昭和二二年六月二六日と翌二七日の両日に亘つてBのために寺銭を徴収して同人の賭博開帳図利の所為を幇助したことが明らかであるから、所論のように寺銭の額や徴収の方法を一々判示しなくても賄場開帳図利幇助の犯罪事実の摘示として十分である。