判旨
賭博の常習性の認定は、必ずしも比較的短期間における数次の前科のみを根拠とする必要はなく、前科の存在や短期間内の反復といった諸要素を総合して判断することができる。
問題の所在(論点)
刑法186条1項の「常習性」の認定において、比較的短期間における反復的な前科が存在することが不可欠な要件となるか。
規範
刑法186条1項にいう「常習」とは、賭博行為を反復累行する習癖をいう。その認定にあたっては、必ずしも短期間に数次の前科があることを要するものではなく、前科の存在や数回の継続的な賭博行為等の各事情が、個別に不十分であっても、全体として習癖を肯定するに足りる場合には常習性が認められる。
重要事実
被告人が賭博罪に問われた事案において、過去に賭博罪による処罰歴(前科)が存在し、かつ今回も賭博行為に及んだという事実が認められた。弁護人は、比較的長くない年月の間に繰り返し処罰された事実がなければ常習性を推断できない旨を主張して上告した。
あてはめ
本件において、被告人には賭博の前科が存在し、かつ短期間に二、三回続けて賭博を行った等の事実が認められる。これらの事実は、個々では常習性を基礎付けるには不十分な場合があるとしても、全体として総合的に評価すれば、被告人に賭博の習癖があることを推断するに足りるものである。したがって、特定の期間内における多数の前科という限定的な要件を充たさなくとも、常習性の認定は可能である。
結論
常習賭博罪における常習性は、前科や反復行為等の諸事情を総合して認定でき、必ずしも特定期間内の数次の前科を必要としない。本件上告は棄却される。
実務上の射程
常習犯(常習賭博罪等)の認定手法に関する重要判例である。答案上では、常習性の定義(反復累行する習癖)を示した上で、前科の回数や間隔だけでなく、犯行の態様や動機を含めた「総合考慮」による認定を正当化する根拠として活用できる。特に前科が少ない事案や期間が空いている事案において、他の事実から習癖を導く際の論理構成に資する。
事件番号: 昭和24(れ)2797 / 裁判年月日: 昭和25年3月28日 / 結論: 棄却
賭博の常習者というのは賭博を反復累行する習癖ある者を指すのである。ところで、被告人は昭和一五年八月八日荻區裁判所で常習賭博罪によつて懲役一〇月に同一六年一〇月三日同裁判所において同罪で懲役一年二月に處せられたものであつて、賭博の習癖は相當根強いものであることを窺い知ることができる。原審においてかかる前科にてらし被告人の…