収賄と公印不正使用とは牽連犯にならない。
収賄と公印不正使用とは牽連犯となるか
刑法165条2項1項,刑法197条1項,刑法54条1項
判旨
印章不正使用罪と収賄罪の関係について、両者は通常、手段と結果の関係に立つものとはいえず、牽連犯を構成しない。
問題の所在(論点)
印章不正使用罪と収賄罪との間に、刑法54条1項後段にいう「犯罪の手段又は結果である行為が他の罪名に触れるとき」(牽連犯)が成立するか。
規範
刑法54条1項後段の牽連犯とは、犯罪の手段又は結果である行為が他の罪名に触れる場合を指す。この「手段又は結果」の関係にあるというためには、それらの罪がその性質上、通常、手段と結果の関係にあることが必要である。
重要事実
被告人Aは、印章不正使用の罪及び収賄の罪を犯したとして起訴された。弁護人は、これらの罪が手段と結果の関係に立つものであり、科刑上一罪として扱われるべきであると主張して上告した。
あてはめ
印章不正使用行為と収賄行為について検討するに、印章を不正に使用することが収賄を行うための不可欠な手段である、あるいは収賄の結果として当然に印章不正使用が伴うといった関係は認められない。したがって、両罪は社会通念上、通常、一方が他方の手段または結果となる関係にあるとはいえない。
事件番号: 昭和25(あ)912 / 裁判年月日: 昭和26年1月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法54条1項後段の牽連犯が成立するためには、犯人の主観のみならず、数罪間に罪質上通例として手段・結果の関係が存在することを要する。窃盗罪と詐欺罪の間には、客観的にそのような手段・結果の関係が存在するとは認められないため、併合罪となる。 第1 事案の概要:被告人は第一の所為として窃盗罪を犯し、第二…
結論
印章不正使用罪と収賄罪は牽連犯の関係に立たず、併合罪(刑法45条前段)として処理されるべきである。
実務上の射程
牽連犯の判断基準として「通常、手段・結果の関係にあるか」という客観的性質論を前提とする判例である。答案上では、個別の行為が具体的な目的関係にあったとしても、類型的に随伴する関係にない場合には牽連犯を否定し、併合罪として構成する際の根拠となる。
事件番号: 昭和27(れ)172 / 裁判年月日: 昭和28年6月4日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】通貨偽造罪(刑法148条1項)とその行使罪(同条2項)の間には、手段と結果の関係があるため、刑法54条1項後段に基づき、牽連犯として科刑上一罪となる。 第1 事案の概要:被告人Aは、日本銀行券預入令等の特別法に違反して旧券の授受、証紙の偽造及び交付等を行った。さらに、他者と共謀して通貨を偽造し(通…
事件番号: 昭和27(あ)1647 / 裁判年月日: 昭和28年7月24日 / 結論: 棄却
一 収税官吏が所得税法反則事件につきその必要ありと認めて差し押えた帳簿書類は、公文書毀棄罪にいわゆる公務所の用に供する文書にあたる。 二 封印破毀罪と公文書毀棄罪とはいわゆる牽連犯にあたらない。
事件番号: 昭和41(あ)2732 / 裁判年月日: 昭和42年8月28日 / 結論: 棄却
甲から金員を騙取するため、乙名義の偽造の委任状等を登録官吏に提出し、乙の不動産の登記簿の原本に抵当権が設定された旨の不実の記載をさせて、これを行使するとともに、甲にその登録済権利証を示して、抵当権設定登録を経由した旨誤信させ、同人から借用金名下に金員を騙取したときは、公正証書原本不実記載罪とその行使罪と詐欺罪との牽連犯…