一 収税官吏が所得税法反則事件につきその必要ありと認めて差し押えた帳簿書類は、公文書毀棄罪にいわゆる公務所の用に供する文書にあたる。 二 封印破毀罪と公文書毀棄罪とはいわゆる牽連犯にあたらない。
一 刑法第二五八条にいわゆる「公務所ノ用ニ供スル文書」にあたる事例 二 封印破毀罪と公文書毀棄罪とは牽連犯となるか
刑法96条,刑法258条,刑法54条1項
判旨
封印等破棄罪(刑法96条)と公用文書等毀棄罪(刑法258条)は、いわゆる牽連犯(同法54条1項後段)の関係には立たず、併合罪として処理される。
問題の所在(論点)
封印等破棄罪(刑法96条)と公用文書等毀棄罪(刑法258条)が、刑法54条1項後段の牽連犯に当たるか、それとも併合罪(45条)に当たるか。
規範
刑法54条1項後段の「犯罪の手段……が他の罪名に触れるとき」とは、その行為が犯罪の性質上、通常その手段として行われる場合に限られる。これに対し、ある罪が他の罪とたまたま手段・結果の関係にあるに過ぎない場合は、併合罪(刑法45条)となる。
重要事実
被告人が、公務員が差し押さえた文書に施された封印を破棄した上で、当該公用文書を毀棄した事案(具体的な事実関係の詳細は判決文からは不明であるが、封印破棄と文書毀棄の罪数関係が争点となった)。
あてはめ
封印を破棄する行為は、必ずしも公用文書を毀棄するための不可欠または通常想定される手段とはいえない。また、公用文書の毀棄も封印破棄の当然の結果ではない。したがって、両罪は性質上の不可分な関係にあるとは認められず、たまたま手段・結果の関係にあったとしても牽連犯には当たらないと解される。
結論
封印等破棄罪と公用文書等毀棄罪は牽連犯に当たらず、併合罪となる。本件上告は棄却される。
実務上の射程
罪数論における牽連犯の判断基準(性質上の手段・結果関係の必要性)を示す。実務上、封印された公用文書を毀棄する行為は複数の法益を侵害するものとして併合罪処理されることを確認する際に用いる。
事件番号: 昭和38(あ)1604 / 裁判年月日: 昭和39年8月13日 / 結論: 棄却
一 被告人の所為をもつて刑法第九六条所定の「公務員の施した差押の標示を無効ならしめた罪」にあたるとした原判断は正当である。 二 (原判決の判断の要旨)執行吏が仮処分の執行として物の占有を自己に移し、その旨の標示をした上、現状不変更を条件として使用を許したときは、仮処分の執行を受けたものは、これを使用するについて、破損箇…
事件番号: 昭和26(れ)2098 / 裁判年月日: 昭和27年2月7日 / 結論: 棄却
収賄と公印不正使用とは牽連犯にならない。