判旨
物価統制令に規定される「価格等の統制額を超過して取引することの許される法定の除外事由」の意義が問われた事案において、行政官から統制額超過の黙認があったとしても、同令上の除外事由には該当しない。
問題の所在(論点)
物価統制令違反の成否に関し、行政官による統制額超過の「黙認」が、同令における「法定の除外事由」に該当するか。
規範
物価統制令における「法定の除外事由」とは、法令の規定に基づき統制額を超過した取引が正当化される場合を指し、行政庁の係官による事実上の黙認という態様は、当該除外事由には含まれない。
重要事実
被告人が物価統制令に違反し、統制額を超過する価格で取引を行った。被告人側は、地方庁の係官から当該超過について黙認を得ていたと主張し、これが物価統制令にいう「価格等の統制額を超過して取引することの許されるいわゆる法定の除外事由」に該当すると訴えて上告した。
あてはめ
物価統制令が禁ずる統制額超過取引について、法令が例外的に許容する「法定の除外事由」は、法的に明確な根拠を要するものである。本件における「地方庁の係官による黙認」という事由は、単なる事実上の事象に過ぎず、法的な正当化根拠を伴うものではない。したがって、判例(昭和25年12月20日大法廷判決等)の趣旨に照らし、かかる黙認があったとしても除外事由には当たらないと解される。
結論
行政官の黙認は物価統制令上の法定の除外事由に当たらず、統制額を超過した取引は依然として同令違反を構成する。
実務上の射程
行政指導や事実上の黙認が違法性阻却事由や法定の除外事由にならないことを示す判例である。刑法総論における「法令による行為(35条)」の成否や、行政刑法における「正当な理由」の解釈において、行政の事実上の関与が法的な免責を直ちに導かないことを説明する際に活用できる。
事件番号: 昭和26(れ)2084 / 裁判年月日: 昭和27年2月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が裁量権の範囲内で適法に行った証拠の採否や、前提となる事実の存否に関する認定は、特段の事情がない限り、上告理由となる訴訟法違反には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が鮮魚介を統制額を超過して消費地向けに委託販売し、その売得金を生産者に支払った事実が認定された。これに対し弁護人は、事実誤認…