論旨前段は被告人等の判示所為は公共の福祉に反するものではないと独自の見解に立つて憲法一三条違反の主張をするのであるが、物価統制令で禁止、処罰される判示所為が公共の福祉に反するものと認むべきはいうまでもないところであるから、所論違憲の主張はその前提を欠きとるを得ない。
憲法一三条にいわゆる公共の福祉と物価統制令違反の所為
憲法13条,物価統制令1条
判旨
物価統制令違反の行為は公共の福祉に反するものであり、憲法13条に違反しない。また、上告段階で新たに主張された緊急避難や期待可能性の欠如については、原判決の確定した事実に反するため上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
物価統制令による処罰が憲法13条に反し違憲ではないか。また、原審で主張されなかった緊急避難や期待可能性の欠如を上告理由として主張できるか。
規範
物価統制令によって禁止・処罰される行為は、公共の福祉に反するものと認められる。また、緊急避難や期待可能性の有無については、原審で確定された事実に基づき判断されるべきであり、上告段階で原判決の認定に反する事実を前提とした主張は許されない。
重要事実
被告人4名は、物価統制令に違反する行為(具体的な行為態様は判決文からは不明)に及び、起訴された。被告人側は、当該行為が公共の福祉に反しないこと、および緊急避難または期待可能性の欠如により無罪となるべきことを主張して上告した。
あてはめ
物価統制令による規制は、経済秩序の維持を目的とするものであり、これに違反する行為が公共の福祉に反することは自明である。したがって、憲法13条違反の主張は前提を欠く。また、緊急避難等の主張は、原審で何ら判断が示されていないだけでなく、その前提となる事実は原判決で認定されていないため、事実誤認を主張するものにすぎず適法な上告理由にはあたらない。
結論
本件各上告を棄却する。物価統制令による処罰は憲法13条に違反せず、原判決の確定事実に反する緊急避難等の主張は採用できない。
実務上の射程
人権制限の根拠としての『公共の福祉』の適用例を示す。また、刑事訴訟法上の上告審における事後審的性格を確認し、原審で主張・認定されていない事実を前提とする超法規的責任阻却事由の主張を制限する実務上の運用を裏付ける。
事件番号: 昭和26(あ)52 / 裁判年月日: 昭和27年2月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の執行猶予を言い渡さないことは、憲法13条が保障する人権を侵害するものではない。 第1 事案の概要:被告人Aおよび被告人Bが、有罪判決を受けた際、裁判所から刑の執行猶予の言渡しを受けなかった。これに対し被告人Bの弁護人は、執行猶予を付さなかったことが憲法13条に保障された人権を侵害するものである…