判旨
自白が取調官の強要によるものであると認められない以上、証拠能力を否定することはできない。また、公訴提起の憲法違反を主張する際には、違反する条規や理由を具体的に示す必要がある。
問題の所在(論点)
1. 取調官の強要による自白の証拠能力の有無。2. 具体的な条規や理由を示さない憲法違反の主張が適法な上告理由となるか。
規範
自白の証拠能力については、それが強要によるものでないことが必要である。また、上告審において憲法違反を主張する場合には、違反する憲法の条規を具体的に示し、かつその理由を明確に述べるべきである。
重要事実
被告人が、原判決において証拠として引用された司法警察官代理作成の訊問調書中の供述(自白)について、取調官の強要によるものであると主張した。また、本件公訴の提起自体が憲法に違反するものであるとも主張したが、具体的な条文の指摘や具体的な理由は示されなかった。
あてはめ
1. 記録を精査しても、本件の自白が取調官の強要によるものであるという事実は認められない。したがって、証拠能力を欠くとの主張は理由がない。2. 公訴提起の憲法違反については、被告人が具体的な条規や理由を述べていない。上告理由としての適格性を欠く不適法な主張である。
結論
本件上告は棄却される。自白の強要事実は認められず、憲法違反の主張も不適法である。
実務上の射程
自白の任意性に関する事実認定の問題として処理されている。答案上は、憲法38条2項や刑訴法319条1項の自白排除法則の適用を検討する際、強要等の不当な圧迫が客観的記録から認められるかという事実認定の重要性を示す。また、上告理由の特定性に関する実務的指針として機能する。
事件番号: 昭和26(れ)1092 / 裁判年月日: 昭和26年8月9日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和26(れ)2301 / 裁判年月日: 昭和27年2月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白が記載された聴取書や訊問調書について、強制、拷問または脅迫によるものであると認めるに足りる資料がない場合には、憲法38条2項に反するとの主張は理由がない。 第1 事案の概要:被告人の自白が記載された各聴取書および訊問調書について、弁護人はこれらが強制、拷問または脅迫によって得られたもの…
事件番号: 昭和26(れ)654 / 裁判年月日: 昭和26年10月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】供述が検察事務官の強制に基づくものであるとの主張があっても、記録上その強制の事実が認められない限り、当該供述録取書の証拠能力は否定されない。自白の任意性に疑いがない以上、憲法違反の問題も生じない。 第1 事案の概要:被告人Aは、第一審および原審の公判廷において、本件の検察事務官による聴取書(供述録…
事件番号: 昭和26(れ)1333 / 裁判年月日: 昭和26年10月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反の主張が実質的に刑訴法411条の職権破棄事由の主張にすぎない場合、それは適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、原判決等に対して憲法違反を理由として上告を申し立てた事案。しかし、その主張の具体的な内容は、憲法の抽象的な解釈を争うものではなく、実質的には原判決の事実誤認や…