判旨
物品購入の代理や媒介による斡旋等の業務に従事する者が、所属団体の利益を図る目的で、法定の除外事由がないにもかかわらず物資の買受契約を締結する行為は、物資の統制規則に違反する罪を構成する。
問題の所在(論点)
物品の購入斡旋等の業務に従事する者が、所属団体の利益のために行う買受契約が、物資の統制に違反する犯罪を構成するか。具体的には、被告人の行為が「業務として」行われた契約締結といえるか、また「利益を得させる目的」の有無が問題となった。
規範
特定の業務(物品購入の代理・媒介・斡旋等)に従事する者が、所属団体の利益を目的として、法令で定められた正当な除外事由なく、規制対象物資の売買契約を締結する行為は、当該取締法規の禁止する行為に該当する。
重要事実
被告人はA協同組合同盟の組織事業局次長であり、同所属団体のための物品購入の代理・媒介・斡旋等の業務に従事していた。被告人は、当該業務としてB地方生活協同組合事業協議会のために塩鮭を購入した。この際、同盟に利益を得させる目的があり、かつ法定の除外事由が存在しなかったにもかかわらず、塩鮭の買受契約を締結した。
あてはめ
被告人は組織事業局次長という役職にあり、常務として物品の代理・媒介を行う立場にあった。今回の塩鮭の買受契約は、まさにその「業務として」行われたものである。また、若干であれ同盟に利益を得させる意図があったことは、営利目的等の主観的要件を充足する。法定の除外事由という違法性阻却事由も認められないため、構成要件を充足し違法であると評価される。
結論
被告人の行為は物資統制規則違反の罪を構成し、有罪とした原判決に憲法違反や判例違反の過誤はない。上告を棄却する。
実務上の射程
戦後の統制経済下における物資統制違反に関する事例であるが、現代の行政刑法においても「業務として」の範囲や「法人の利益を図る目的」の認定手法において参考となり得る。もっとも、本判決は事実認定の適法性を維持した簡短なものであるため、規範の射程は形式的な契約主体の認定に留まる。
事件番号: 昭和26(れ)2084 / 裁判年月日: 昭和27年2月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が裁量権の範囲内で適法に行った証拠の採否や、前提となる事実の存否に関する認定は、特段の事情がない限り、上告理由となる訴訟法違反には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が鮮魚介を統制額を超過して消費地向けに委託販売し、その売得金を生産者に支払った事実が認定された。これに対し弁護人は、事実誤認…