判旨
物価統制令等に違反する超過代金での買受け(売買契約)において、単なる金銭の引渡行為のみならず、その合意(契約)があったと認められる場合には、同令違反の罪が成立する。
問題の所在(論点)
物価統制令違反における「買受け」の認定について、単なる金銭の引渡行為のみがなされた場合と、超過代金での売買契約が締結された場合とで、構成要件の充足性が左右されるか。
規範
物価統制令等の価格制限違反の罪の成否については、単なる代金の引渡しという事実行為のみならず、制限を超過する代金での売買契約を締結したという事実が認められるかによって判断される。
重要事実
被告人が、法令の規定により定められた制限額を超える代金(超過代金)で小麦粉を買い受ける契約を締結した。弁護人は、これが単なる金銭の引渡行為に過ぎないと主張したが、第一審は証拠に基づき、売買契約(買受けの事実)そのものを認定した。
あてはめ
本件では、第一審において証拠に基づき、被告人が判示小麦粉を判示超過代金で買い受けた、すなわち売買契約を締結した事実が認定されている。これは、所論が主張するような「単なる金銭の引渡行為」にとどまるものではなく、法的に禁止された超過代金での取引合意そのものが存在したと評価される。したがって、法令違反の事実に欠けるところはない。
結論
被告人が超過代金で買い受ける契約を締結した事実に照らし、物価統制令違反の成立を認めた原判断は妥当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
行政刑法(物価統制法規等)における「買受け」等の概念に関し、単なる事後的・事実的な金銭授受ではなく、契約締結という法律行為の存否を事実認定の対象とすべきことを示唆している。実務上は、実行行為の特定の態様(契約か事実行為か)を証拠に基づき峻別する際の参考となる。
事件番号: 昭和24(れ)2787 / 裁判年月日: 昭和25年3月9日 / 結論: 棄却
物價統制令はその第三條において「………價格等ハ其ノ統制額ヲ超エテ之ヲ契約シ、支拂ヒ又ハ受領スルオトヲ得ズ………」と規定し、その第三二條において、「三條ノ規定ニ違反シタル者ハ十年以下ノ懲役又ハ一〇萬圓以下ノ罰金ニ處スル」旨を規定しているのであるから、被告人が判示硫安を現實に引渡さなかつたからといつて、同令第三條にいわゆる…