物價統制令第三條違反罪の成立するためには、同法第四條による統制額を超えて契約すれば足りるので代金の支拂を受けることは必ずしも必要ではない、故に賣買契約さえ成立すればよいわけである。
物價統制令第三條違反罪の成立要件
物價統制令3條,物價統制令4條
判旨
物価統制令3条違反罪の成立には、同法4条所定の統制額を超える価格で売買契約を締結すれば足り、代金の支払を受けることは必要ではない。
問題の所在(論点)
物価統制令3条違反罪が成立するためには、統制額を超える価格での売買契約の締結に加えて、現実に代金の支払を受ける必要があるか。
規範
物価統制令3条違反罪(不当高価販売罪等)は、同法4条による統制額を超えて契約を締結することによって成立する。本罪の既遂時期は契約の成立時であり、現実に代金の授受が行われることを要しない。
重要事実
被告人は、Aに対し、判示物品を物価統制令4条に定められた統制額を超える価格で販売した。この際、売買契約は成立していたものの、代金の支払が現実に行われたかどうかが争点となった。
あてはめ
物価統制令3条が禁じているのは統制額を超える価格での取引自体である。本件において、被告人はAとの間で統制額を超える価格による物品の販売を合意しており、売買契約が成立したことが証拠上認められる。契約が成立している以上、その後に代金の支払が完了したか否かは犯罪の成否に影響を及ぼさない。
結論
物価統制令3条違反罪の成立には売買契約の成立があれば足り、代金の支払は不要であるため、被告人の罪は成立する。
実務上の射程
行政法規違反の経済事犯において、契約締結をもって既遂とする判例である。現行の公職選挙法や各種取締法規における「供与」や「授受」の解釈においても、合意(約束)の段階で処罰対象とする立法趣旨を検討する際の参考となる。
事件番号: 昭和26(れ)1343 / 裁判年月日: 昭和26年9月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】物価統制令3条1項が禁止する「統制額を超えて価格等を契約すること」による違反罪は、契約の締結によって成立し、現実に代金を受領したか否かという現金決済の有無は犯罪の成否に影響しない。 第1 事案の概要:被告人は、A外27名に対し、自転車のタイヤおよびチューブ各22本を、当時の物価統制令に基づく統制額…