判旨
判決において被告人の属性が詳細に特定されていなくても、認定された事実がいずれの構成要件に該当しても法定刑の範囲内であり、量刑が相当であるならば、判決を破棄しなければ著しく正義に反するとまではいえない。
問題の所在(論点)
被告人が公定価格超過販売等を行った事案において、被告人の属性(生産者か集荷配給団体か)を厳密に特定せずに有罪とした原判決は、判決に影響を及ぼすべき法令違反があるとして破棄されるべきか。
規範
被告人が特定の公定価格規制に違反した事実が認定されている場合、細部の属性(生産者か集荷配給団体か等)の認定に欠けるところがあっても、そのいずれに該当しても罰則の適用範囲内であり、かつ量刑が相当であれば、原判決に破棄を要するほどの重大な違法があるとは認められない。
重要事実
藺製品の仲買業者である被告人が、畳表や茣蓙等を公定価格を超えていわゆる闇売したとして起訴された事案。原判決は被告人を仲買業者と認定したが、被告人が藺草の「生産者」または「集荷配給団体」のいずれに属するかまでは明示的に認定していなかった。被告人側は、この点に事実誤認または法令違反があるとして上告した。
あてはめ
被告人が仲買業者として闇売を行ったという事実は確定しており、これは生産者販売価格の超過販売、集荷配給団体販売価格の超過販売、あるいは不当高価販売のいずれかに必ず帰着する。原判決が科した刑罰は、これらのどの類型に該当するとしてもそれぞれの法定刑の範囲内で行われており、量刑として相当である。したがって、属性の認定に一部不備があったとしても、その結論を破棄しなければ著しく正義に反する事態(刑訴法411条等)には当たらないと解される。
結論
被告人の属性の認定に不明確な点があっても、認定事実に即していずれの罰則規定を適用しても量刑が適正であれば、原判決を破棄すべき理由にはならない。上告棄却。
実務上の射程
択一的認定が許容される場面や、細かい構成要件の認定に不備があっても結論(刑の量定)に影響がない場合の上告理由の制限に関する判断として参照できる。
事件番号: 昭和24(れ)2330 / 裁判年月日: 昭和26年1月26日 / 結論: 棄却
原判決が、本件畳表について、特上、並の等級を明示していないことは、所論のとおりであるが、本件は、統制額を超過して販売する目的を以て畳表を所持したという罪であつて、原判決は被告人が販売せんとした価格は一枚三六〇円乃至四〇〇円であつたことを判示しているのであつて、かりに右畳表の等級がいずれにあつたとしても、右価格は決定の統…