原判決が、本件畳表について、特上、並の等級を明示していないことは、所論のとおりであるが、本件は、統制額を超過して販売する目的を以て畳表を所持したという罪であつて、原判決は被告人が販売せんとした価格は一枚三六〇円乃至四〇〇円であつたことを判示しているのであつて、かりに右畳表の等級がいずれにあつたとしても、右価格は決定の統制額を超過するものであることは関係法規に照し明らかであるから、本件において更に右畳表の等級を特定して判示する必要はないものというべきである。けだし、右はいずれにしても、本件犯罪の成否にも犯情にも影響を及ぼすべき事項と解せられないからである。
物価統制令第一三条の二違反事実の判示方法
物価統制令13条の2,物価統制令3条,昭和23年2月物価庁告示72号
判旨
統制額超過販売目的の所持罪において、対象物の等級を特定しなくても、販売予定価格がいずれの等級の統制額をも超過することが明らかな場合には、犯罪の成否や犯情に影響しないため、等級の判示は不要である。
問題の所在(論点)
物価統制令違反(超過販売目的所持)の罪において、判決書に対象物の具体的な等級を特定して記載することが、罪状認めるための不可欠な要件となるか。
規範
判決における事実摘示において、対象物の詳細な属性(等級等)を特定する必要があるか否かは、その特定が犯罪の成否または犯情(量刑上の事情)に影響を及ぼすか否かによって決せられる。客観的な数値等により、属性のいかんを問わず当該行為が法に抵触することが明らかな場合には、それ以上の細別は不要である。
重要事実
被告人は、畳表を統制額超過の価格で販売する目的で所持したとして、物価統制令違反等で起訴された。原判決は、本件畳表について「特上」「並」といった等級を明示していなかったが、被告人が販売しようとした価格(1枚360円乃至400円)は認定していた。被告人側は、等級が特定されていないため、統制額を超過しているかどうかの判断が不十分であると主張して上告した。
あてはめ
本件において、原判決は被告人が販売しようとした具体的な価格を認定している。この価格(360円〜400円)は、関係法規に照らせば、当該畳表がどの等級に該当するものであったとしても、法定の統制額を一律に超過するものであることが明らかである。したがって、等級を「特上」や「並」と特定しなくとも、統制額超過という犯罪構成要件の充足は論理的に導き出される。また、この程度の差異は犯情にも実質的な影響を与えない。
結論
対象物の等級を特定しなくても、認定された販売価格がいずれの等級の統制額をも超過することが明らかであれば、犯罪は成立し、判決に違法はない。
実務上の射程
訴因や判決における事実摘示の具体性(特定)に関する射程を有する。構成要件の充足が論理的に明白であり、かつ防御権の行使や量刑判断に実質的な支障がない限り、細部の属性特定を省略できるとする実務的な判断基準として活用できる。
事件番号: 昭和23(れ)1174 / 裁判年月日: 昭和23年12月24日 / 結論: 棄却
一 昭和二〇年勅令第五四二號が舊憲法下においても新憲法下においても有効であることは既に當裁判所大法廷の判例とする處である。(昭和二二年(れ)第二七九號事件判決) 二 縣が本件物件を一一〇圓で賣つたからといつて、これを以て直ちに該物件の適正價格が一一〇圓であるとすることは出來ない。原審の舉示した證據を參酌して見ると、原審…