判旨
判決に関与していない裁判官が判決書に署名捺印しているとの主張は、記録上の誤認に基づくものであり、上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
公判に関与していない裁判官が判決書に署名捺印している場合、判決の適法性に影響を及ぼすか。
規範
刑事訴訟法上、判決の成立・宣告に関与した裁判官が判決書に署名押印しなければならないが、記録上、関与していない裁判官が署名したという事実が認められない場合には、適法な手続に反するものとはいえない。
重要事実
被告人らの弁護人が、公判に関与していない判事が判決に署名していると主張し、憲法違反および刑訴法411条(上告受理の申立て等の特例)に該当する事由があるとして上告した事案である。
あてはめ
記録を精査した結果、弁護人が主張する「公判に関与しない判事が判決に署名している」という事実は認められず、弁護人の記録の見誤りであると判断された。したがって、手続上の違法は存在せず、刑訴法411条を適用して原判決を破棄すべき事由も認められない。
結論
被告人らの上告には刑訴法405条、411条に該当する事由がないため、本件各上告を棄却する。
実務上の射程
裁判所の構成の適法性に関する主張が、客観的な記録(訴訟記録)と矛盾する場合には、理由がないものとして退けられる。答案上は、裁判所の構成の違法(刑訴法379条等)を論じる際の前提として、記録に基づく事実認定の重要性を示す例として参照し得る。
事件番号: 昭和26(あ)4194 / 裁判年月日: 昭和28年6月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の上告について、事実誤認や量刑不当の主張は刑訴法405条の上告理由に当たらない。また、違憲の主張についても、先例の趣旨に照らし、憲法違反は認められない。 第1 事案の概要:被告人が上告を提起したが、その主張内容は事実誤認および量刑不当であった。また、弁護人からも憲法違反を理由とする上告がなさ…