判旨
検察官が主張する犯情に関する事項は、原審が独立の主張として判断を示すべき性質のものではなく、これに判断を与えなかったとしても違憲の問題は生じない。
問題の所在(論点)
検察官が行った犯情に関する主張について、原裁判所が独立した判断を示さなかったことが、裁判の拒否や適正手続に反し、違憲といえるか。
規範
刑事訴訟法上の上告審において、裁判所が判断を要するのは適法な上告理由に掲げられた事項に限られる。検察官による犯情に関する主張は、独立した法的主張としての性質を有しないため、これに対して個別に判断を示す必要はない。
重要事実
被告人が事実誤認または量刑不当を理由に上告し、弁護人が憲法違反を主張して上告した事案。弁護人は、検察官が行った特定の主張(犯情に関するもの)について、原審が判断を与えなかったことが違憲である旨を論旨の末段で主張していた。
あてはめ
検察官が展開した主張の内容を精査すると、それは単なる犯情(情状)に関する主観的な意見や補足にすぎない。このような主張は、判決の結論を左右する独立した主張としての性質を欠く。したがって、原審においてこれに個別の判断を示さなかったとしても、審理不尽や判断遺脱といった違憲の余地は生じないといえる。
結論
検察官の犯情に関する主張は、原審が個別に判断を要する性質のものではなく、これに対する判断の欠如は憲法違反を構成しない。
実務上の射程
上告審における「判断遺脱」の対象を画定する際、実質的に犯情の主張にすぎないものについては、裁判所の判断対象外であることを示す根拠として用いることができる。答案上は、上告理由の適格性や裁判所の判断義務の範囲が問われる場面で、実質的な主張内容に基づいて判断の要否を峻別する視点として有用である。
事件番号: 昭和27(あ)5875 / 裁判年月日: 昭和28年4月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意において量刑不当のみを主張することは、刑訴法405条所定の上告理由に当たらない。また、憲法違反を主張する場合であっても、具体的にいかなる条規に反するか、その理由を明示しないものは、不適法な上告理由として退けられる。 第1 事案の概要:被告人の弁護人が、原判決の量刑が不当であるとして上告を申…
事件番号: 昭和26(あ)4194 / 裁判年月日: 昭和28年6月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の上告について、事実誤認や量刑不当の主張は刑訴法405条の上告理由に当たらない。また、違憲の主張についても、先例の趣旨に照らし、憲法違反は認められない。 第1 事案の概要:被告人が上告を提起したが、その主張内容は事実誤認および量刑不当であった。また、弁護人からも憲法違反を理由とする上告がなさ…