所論食糧緊急措置令第一〇条本文は、刑法に正条のない場合の補充規定であることは当法廷昭和二三年(れ)三二九号同年七月一五日の判決の趣旨とするところである。
食糧緊急措置令第一〇条本文は法律に正条なき場合の補充規定である
刑法246条,食糧緊急措置令10条
判旨
食糧緊急措置令10条本文は、刑法に正条がない場合の補充的規定であり、刑法等に処罰規定がある場合にはそちらが優先して適用される。
問題の所在(論点)
食糧緊急措置令10条本文の規定の性質および適用関係が問題となる。
規範
特定の行政法規における罰則規定が「補充規定」としての性質を有する場合、刑法その他の法律に直接の処罰規定(正条)が存在しないときに限り適用される。正条が存在する場合には、当該正条が優先的に適用され、補充規定は適用されない。
重要事実
被告人が食糧緊急措置令違反等の罪に問われた事案において、弁護人は同令10条本文の解釈を巡り、原判決には法令違反がある旨を主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、既往の判例(昭和23年(れ)329号)を引用し、食糧緊急措置令10条本文は、刑法に正条のない場合の補充規定であるとの判断を示した。本件記録を精査しても、原判決において法令違反や量刑不当といった刑訴法411条を適用すべき特段の事情は認められず、所論は単なる法令違反又は量刑不当の主張にすぎない。
結論
食糧緊急措置令10条本文は補充規定であるとした原判決に誤りはなく、上告を棄却する。
実務上の射程
特別法と一般法(刑法)の適用関係において、条文が「補充的」な性質を持つ場合の解釈指針として機能する。もっとも、本判決は極めて簡潔な決定形式であり、具体的な適用対象(正条の内容等)については個別事案ごとの検討を要する。
事件番号: 昭和26(あ)4176 / 裁判年月日: 昭和27年10月23日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和28(あ)3516 / 裁判年月日: 昭和30年7月22日 / 結論: 棄却
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