上告趣意書を差出すべき法廷期間を経過した後に差出された弁護人選任届によつては、その以前に差出された弁護人名義の上告趣意書を追完してその差出を有効とすることができないことは、当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第一二九号、同年六月一二日第二小法廷判決、同年(れ)第四〇二号、同年七月六日第三小法廷決定)。
上告趣意書提出期間経過後、弁護人選任届を提出した場合の上告趣意書の効力
旧刑訴法423条
判旨
上告趣意書の提出期間内に弁護人選任届が提出されていない場合、期間内に弁護人名義で提出された上告趣意書は無効であり、期間経過後の選任届提出によってもその効力は追完されない。
問題の所在(論点)
上告趣意書提出期間内に弁護人名義の書面が提出されたものの、期間内に弁護人選任の届出がなされていなかった場合、期間経過後の選任届提出によって当該趣意書の提出を有効なものとして追完できるか。
規範
上告趣意書を提出すべき法定期間内に正当な弁護人選任の届出がない場合、当該期間内に差出された弁護人名義の上告趣意書は、適法なものと認めることはできない。また、期間経過後に提出された弁護人選任届によって、遡及的に当該書面の提出を有効とすることも認められない。
重要事実
被告人の弁護人と称する者により、上告趣意書提出期間の最終日である昭和26年8月16日に「上告趣意書」が提出された。しかし、被告人が当該人物を弁護人に選任する旨の書面(弁護人選任届)が裁判所に提出されたのは、期間経過後の同月20日であった。
事件番号: 昭和24新(れ)142 / 裁判年月日: 昭和24年12月26日 / 結論: 棄却
判例と相反する判断をしたことを理由として上告の申立をした場合には、上告趣意書にその判例を具体的に示さなければならない(刑訴規則第二五三條)のに、その摘示がないし、又刑訴法第四一一條を適用すべきものと認められないから、同法第四一四條第三八六條第一項第二號により主文のとおり決定する(上告棄却)
あてはめ
本件では、提出期間の最終日までに上告趣意書自体は差し出されているものの、その時点において差出人は訴訟法上の正当な弁護人としての資格(選任届の提出)を有していなかった。期間経過後に選任届が提出されたとしても、法定期間という厳格な時期的制約を課した趣旨に照らせば、瑕疵ある提出行為を事後的に有効化することはできない。したがって、期間内に適法な上告趣意書が差し出されなかったものと帰着する。
結論
上告趣意書を提出すべき法定期間内に適法な趣意書の提出がなかったものとして、本件上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟手続における弁護人選任の届出(刑訴法30条等)が、上告趣意書の提出権限を担保する不可欠な要件であることを示す。期間徒過後の追完を否定する厳格な手続的解釈であり、実務上、選任届の先行または同時提出の徹底を要求する射程を有する。
事件番号: 昭和26(あ)1425 / 裁判年月日: 昭和26年6月26日 / 結論: 棄却
被告人の上告した事件につき、上告趣意書が法定の期間内に原審弁護人から差出されても、その上告審における弁護人選任届の提出が右期間経過後であれば、有効なものとはならない。
事件番号: 昭和25(れ)1141 / 裁判年月日: 昭和25年11月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】単に刑の減軽を求めるだけの「御寛大な判決を求める」という主張は、法律審である上告審における適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人が、上告審において「御寛大な判決を求める」旨の上告趣意を提出した事案である。 第2 問題の所在(論点):「御寛大な判決を求める」という趣旨の主張…
事件番号: 昭和25(あ)1580 / 裁判年月日: 昭和26年6月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑訴法405条の上告理由に当たらない主張や、同411条を適用すべき職権調査の必要性が認められない場合、上告は棄却される。 第1 事案の概要:被告人および弁護人が各上告趣意を申し立てたが、原審判決の維持が争われた事案である。具体的な犯罪事実については本決定の文面からは不明である。 第2 問題の所在(…