判旨
無免許での密輸出罪の成否について、貨物を携行して船に乗込み、目的地に向けて出航した時点で、関税法上の密輸出罪の実行の着手または既遂が認められる。
問題の所在(論点)
免許を受けずに貨物を国外へ持ち出す目的で、貨物を携行して船舶に乗り込み出航した行為が、関税法31条および76条1項の密輸出罪に該当するか。
規範
関税法(昭和23年当時の法制)における密輸出罪の成立には、免許を受けることなく貨物を国外へ持ち出す意図をもって、運送手段に乗込み、実際に港を出航して移動を開始することが必要である。
重要事実
被告人は、昭和23年7月20日頃、大阪港において免許を受けることなく貨物を朝鮮へ密輸出することを企図した。被告人は、当該貨物を携帯してA商会海事部所有の曳航船B丸(約16トン)に乗り込み、船長の運航の下、朝鮮に向けて大阪港を出航した。
あてはめ
被告人は密輸出の目的をもって貨物を携行しており、主観的な犯意は明白である。また、実際に曳航船に乗込み、目的地である朝鮮に向けて大阪港を出航していることから、客観的にも輸出行為に向けた直接的な実行行為が認められる。この一連の行為は、関税法の禁止する無免許輸出の構成要件に該当する。
結論
被告人の行為は関税法31条、76条1項に該当し、密輸出罪が成立する。
実務上の射程
本判決は、密輸出罪の既遂時期または実行の着手時期に関し、出航という事実を重視する実務上の指針を示すものである。輸出入に関する行政犯においても、具体的な移動の開始をもって処罰対象となることを示唆している。
事件番号: 昭和26(あ)3661 / 裁判年月日: 昭和27年5月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】海上における関税法所定の輸出行為は、目的の物品を日本領土外に仕向けられた船舶に積載した時点で完成(既遂)となる。 第1 事案の概要:被告人らが、関税法に違反して物品を海外へ輸出しようとした事案。具体的な積載場所や航路、物品の種類等の詳細は判決文からは不明であるが、海上ルートによる輸出を企図し、船舶…
事件番号: 昭和25(れ)945 / 裁判年月日: 昭和25年9月28日 / 結論: 棄却
所論鑑定人Aの鑑定の趣旨が、原判決摘示の通り、判示B丸を以てすれば冬期においても周到なる注意に依つて天候を見定めて出航すればa港より朝鮮への渡航は可能であるとするにあること、その鑑定書の記載自体によつて明瞭である。犯人が客観的に犯罪の遂行に可能な手段を以てその實行に着手すれば、犯行實現の危険性あること勿論であるから、偶…