判旨
関税法所定の「輸出」行為の既遂時期について、海上においては、目的の物品を日本領土外に仕向けられた船舶に積載した時点で完成する。
問題の所在(論点)
海上における関税法所定の「輸出」行為は、どの時点をもって既遂(完成)と解すべきか。具体的には、国外に仕向けられた船舶への積載時点で既遂となるか、あるいは船舶の離岸や領海脱出が必要かが問題となる。
規範
関税法における輸出罪の既遂時期について、海上輸送の場合、物品を日本領土外に向けて出発する(日本領土外に仕向けられた)船舶に積み込んだ時点をもって、輸出行為は完成(既遂)したものと解する。
重要事実
上告人らは、関税法違反の罪に問われた。争点となったのは、海上における輸出行為がどの段階で完成(既遂)したとみなされるかという点であった。上告人らは、単なる船舶への積載のみでは輸出行為の完成とはいえない旨を主張して上告した。
あてはめ
判決文によれば、目的の物品を「日本領土外に仕向けられた船舶」に「積載すること」が輸出行為の核心である。船舶の目的地が日本国外である以上、その船舶に物品を積み込んだ時点で、当該物品が日本国外へ搬出される蓋然性が確定的に生じたといえる。したがって、船舶が実際に離岸したり領海を越えたりする前であっても、積載の完了をもって輸出行為は客観的に完成したものと評価される。
結論
海上における輸出行為は、日本領土外に仕向けられた船舶に物品を積載することによって完成する。
実務上の射程
本判決は、輸出罪の既遂時期を「積載時」と解することで、法執行の明確化を図る射程を有する。司法試験においては、関税法違反や密輸の事例において、未遂と既遂の区別が問われた際の判断基準として活用できる。特に、物品が船に積み込まれた直後に摘発されたケースでの既遂認定の根拠となる。
事件番号: 昭和33(あ)258 / 裁判年月日: 昭和33年10月6日 / 結論: 棄却
関税法第一一一条第一項にいう「貨物を輸入」する行為は、海上にあつては、正当な通関手続を経ないで外国貨物を本邦へ陸揚げすることにより既遂となる。