判旨
海上における関税法所定の輸出行為は、目的の物品を日本領土外に仕向けられた船舶に積載した時点で完成(既遂)となる。
問題の所在(論点)
海上における関税法上の「輸出」行為の既遂時期はいかなる時点か。船舶が領海を離脱した時点か、あるいは船舶に積載した時点かが問題となる。
規範
関税法所定の「輸出」行為(実行の着手および既遂時期)について、海上輸送による場合は、当該物品を日本領土外に向けて出航する目的の船舶に積載することをもって完成(既遂)と解する。
重要事実
被告人らが、関税法に違反して物品を海外へ輸出しようとした事案。具体的な積載場所や航路、物品の種類等の詳細は判決文からは不明であるが、海上ルートによる輸出を企図し、船舶への積載が行われた状況であった。
あてはめ
関税法が規制する輸出行為の完了時期について、最高裁は過去の判例(昭和23年8月5日第一小法廷判決)を引用し、日本領土外に仕向けられた船舶に物品を積載した事実があれば、その時点で輸出行為は完成したものと評価できるとした。したがって、現実に領海を越えることを要せず、積載をもって既遂となる。
結論
関税法所定の輸出行為は、日本領土外へ向かう船舶への積載により完成する。したがって、当該積載があれば輸出罪の既遂が成立する。
実務上の射程
関税法違反の既遂時期を画定する基準として重要。海上輸送の場合、現実の密出国(領海脱出)を待たず、不法輸出の目的を持って本船に物品を積み込んだ時点で既遂となるため、捜査機関による検挙のタイミングや罪数評価において、この積載時点が基準となる。
事件番号: 昭和33(あ)258 / 裁判年月日: 昭和33年10月6日 / 結論: 棄却
関税法第一一一条第一項にいう「貨物を輸入」する行為は、海上にあつては、正当な通関手続を経ないで外国貨物を本邦へ陸揚げすることにより既遂となる。