関税法第一一一条第一項にいう「貨物を輸入」する行為は、海上にあつては、正当な通関手続を経ないで外国貨物を本邦へ陸揚げすることにより既遂となる。
関税法第一一一条第一項にいう「貨物を輸入」する行為の既遂時期。
関税法111条
判旨
海上における貨物の密輸入行為は、正当な通関手続を経ることなく、外国貨物を本邦の陸地に揚げた時点で既遂に達する。
問題の所在(論点)
海上からの貨物密輸入行為において、どの時点をもって犯罪が既遂に達すると解すべきか。
規範
関税法上の密輸入罪等の実行の着手及び既遂時期については、輸入の定義及び関税徴収の客観的確実性を確保する趣旨に照らして判断すべきである。海上からの密輸入の場合、正当な通関手続を経ないで外国貨物を本邦の陸地に陸揚げしたことをもって、既遂に達するものと解するのが相当である。
重要事実
被告人らは、海上を経由して外国貨物を密輸入しようとした。弁護人は、陸揚げの事実関係や既遂時期の解釈について争い、原判決には法令違反があると主張して上告した。
あてはめ
本件において被告人らは、正当な通関手続を履践することなく、海上から外国貨物を搬送している。密輸入罪の保護法益は関税制度の適正な運用にあり、貨物が本邦の領土である陸地に物理的に到達した時点、すなわち「陸揚げ」の段階で、関税制度を潜脱する客観的な危険性が現実化したといえる。したがって、陸揚げがなされたことをもって、既遂と認めるのが妥当である。
結論
海上からの密輸入は、正当な通関手続を経ずに外国貨物を本邦へ陸揚げすることによって既遂となる。
実務上の射程
密輸入の既遂時期を「陸揚げ時」と明示したリーディングケースである。答案上は、輸入の意義(関税法2条1項1号)との関連で、領海侵入時(着手)と陸揚げ時(既遂)を区別する際の根拠として用いる。
事件番号: 昭和26(あ)3661 / 裁判年月日: 昭和27年5月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】海上における関税法所定の輸出行為は、目的の物品を日本領土外に仕向けられた船舶に積載した時点で完成(既遂)となる。 第1 事案の概要:被告人らが、関税法に違反して物品を海外へ輸出しようとした事案。具体的な積載場所や航路、物品の種類等の詳細は判決文からは不明であるが、海上ルートによる輸出を企図し、船舶…
事件番号: 昭和28(あ)47 / 裁判年月日: 昭和30年10月4日 / 結論: 棄却
一 外国で入手した砂糖三万斤をわが領海内まで運航した来た上、他の船に積替え、二日宛の間隔をおいて三回に各別の三ケ所に一万斤づつ陸揚げした場合には、右陸揚毎に各別の密輸入罪が成立する。 二 貿易等臨時措置令施行当時命令の定める場合ではないのに政府以外の者が税関の免許なくして貨物(免税品)を輸入したときは、貿易等臨時措置令…
事件番号: 平成13(あ)92 / 裁判年月日: 平成13年11月14日 / 結論: 棄却
覚せい剤を船舶によって領海外から搬入する場合における覚せい剤取締法41条の覚せい剤輸入罪は,船舶から領土への陸揚げの時点で既遂に達する。
事件番号: 昭和33(あ)2335 / 裁判年月日: 昭和37年5月1日 / 結論: 破棄自判
一 出入国管理令第二五条第二項の規定に違反して出国した被告人の所為につき、同令第七一条を適用処断した原判決は、憲法第二二条第二項に違反するものでないこと明らかである。 二 密入国者がその密入国に際して、携帯貨物を税関の許可を受けないで、携帯輸入したときは、その密入国の罪と密輸入の罪とは併合罪の関係にある。