判旨
共犯者または共同被告人の供述は、被告人の自白を補強する証拠となり得る。旧刑訴法および刑訴応急措置法下においても、共犯者の供述をもって自白の補強証拠とすることを肯定した判例の立場を維持したものである。
問題の所在(論点)
憲法31条および刑訴応急措置法10条2項(現行刑訴法319条2項に相当)に関連し、共犯者の供述が被告人の自白に対する補強証拠となり得るか。
規範
被告人の自白の証明力を補強するための証拠(補強証拠)として、共犯者または共同被告人の供述を用いることができる。これは、被告人自身の自白から独立した証拠価値を有するものであれば、補強証拠としての適格性を有するという趣旨に基づく。
重要事実
被告人の犯罪事実を認定するに際し、原審(控訴審)は被告人の自白に加え、共犯者(または共同被告人)による供述を採用した。弁護人は、第一審判決後に作成された検察事務官の聴取書が適式に証拠調べされていないこと、および共犯者の供述は補強証拠にならないことを理由に、憲法31条(適正手続)違反等を主張して上告した。なお、原審の公判調書には「各聴取書」の証拠調べの記載があり、当該供述者に対する証人尋問および被告人への尋問機会も与えられていた。
あてはめ
最高裁は、共犯者または共同被告人の供述であっても、被告人の自白に対する補強証拠となり得るという従来の判例を変更する必要はないと判断した。本件において、原審で証拠採用された聴取書は、公判調書の記載から適式に証拠調べがなされたと認められ、かつ被告人には当該供述者への審問機会が十分に与えられていた。したがって、手続上の違法はなく、共犯者供述を補強証拠として自白を補強し、有罪を認定した原判決の採証に不合理な点はない。
結論
共犯者または共同被告人の供述は補強証拠となり得るため、上告を棄却する。
実務上の射程
自白の補強証拠の資格に関する重要判例である。現行法下においても、共犯者の供述は被告人の自白から独立した証拠(他人証拠)であるため、補強証拠として許容されるとするのが実務の確立した準則である。答案上は、補強証拠が必要とされる趣旨(自白の偏重による誤判防止・虚偽自白の排除)を論じた上で、共犯者供述が独立した性質を有することを示す際の根拠として用いる。
事件番号: 昭和25(れ)840 / 裁判年月日: 昭和25年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共同被告人の供述は、被告人の自白の真実性を担保する限り、憲法38条3項及び刑訴法319条2項にいう補強証拠となり得る。また、賍物罪における「知情」のように犯罪の主観的要素については、その点に関する直接の補強証拠がなくとも、自白と他の証拠を総合して犯罪事実全体を認定することが許される。 第1 事案の…