判旨
有罪判決の証拠説明において、証拠の標目を掲げれば足りるとする特例規則の規定は有効であり、詳細な証拠の摘示がない場合でも違法とはならない。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法下における有罪判決の証拠説明において、証拠の具体的な内容を詳述せず、証拠の標目を掲げるのみで足りるか。
規範
昭和26年1月4日から施行された「旧刑訴法事件の控訴審及び上告審における審判の特例に関する規則」8条によれば、有罪判決の証拠説明については、証拠の標目を掲げれば足りるものと解される。
重要事実
被告人が有罪判決を受けた際、その証拠説明について争われた事案。弁護人は、判決における証拠の標目の掲示のみでは証拠説明として不十分であり、訴訟法違反があるとして上告を申し立てた。
あてはめ
本件における昭和26年3月20日言い渡しの有罪判決は、施行されたばかりの特例規則8条が適用される。同条は証拠説明について「証拠の標目を掲げれば足りる」と明定しているため、これに従って証拠の標目が掲げられていれば、判決に所論の違法があるとは認められない。
結論
本件判決に所論の違法はなく、刑訴法411条を適用すべき事由も認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は旧法下のものであるが、判決書の証拠説明の程度に関する判例法理として理解される。現行法下(刑訴法335条1項)でも、罪となるべき事実の認定に用いた証拠の標示がどの程度具体性を要するかを検討する際の歴史的・実務的準拠となり得る。
事件番号: 昭和37(あ)1056 / 裁判年月日: 昭和38年7月11日 / 結論: 棄却
有罪の言渡をするには、どの証拠で、どの事実を認めたかを明らかにする必要はあるけれども、必ずしも、各犯罪事実ごとに個別的にこれを認めた証拠の標目を示さなければならないものではなく、原判文と本件記録とを照し合せると、どの証拠でどの事実を認めたかが明らかであるから、原判決には所論のような違法は認められない(昭和二五年(あ)第…