判旨
証拠を総合的に検討し、被告人が精米を騙取した詐欺の事実が認定できる場合には、刑法上の詐欺罪が成立し、併合罪としての加重も適法である。
問題の所在(論点)
原審における詐欺罪の事実認定が証拠に基づき適法に行われたか、また、認定された事実に基づき併合罪の規定を適用した判断に違法があるか。
規範
詐欺罪(刑法246条1項)の成否については、証拠を総合的に検討し、欺罔行為、錯誤、財産的処分行為、及び財物の移転という一連の因果関係が認められるかを判断すべきである。また、数個の犯罪が認められる場合には、併合罪(刑法45条前段)として処断される。
重要事実
被告人は、昭和22年12月20日頃、精米35キログラム(97円相当)を騙取したとして詐欺の罪に問われた。原判決は、提出された各証拠を総合してこの詐欺事実を認定し、被告人に対し併合罪としての加重を適用した。これに対し被告人側は、証拠の趣旨誤解による事実誤認および刑の加重の違法を主張して上告した。
あてはめ
最高裁は、原判決が挙げた各証拠を仔細に検討した結果、それらの証拠の趣旨を誤解して罪証に供したとは認められないと判断した。すなわち、証拠を総合すれば詐欺の事実は十分に認定し得るとし、弁護人の主張は実質的に事実誤認の主張にすぎないと退けた。さらに、認定された詐欺事実に基づき併合罪の加重を行った原判決の判断も相当であり、違法はないと解される。
結論
被告人による精米の騙取事実は適法に認定されており、詐欺罪の成立および併合罪による加重を認めた原判決に誤りはないため、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は非常に簡潔な事実認定の妥当性を確認したものであるが、実務上は、複数の詐欺行為がある場合に各々を独立した罪として認定し、併合罪として処理する基本的な運用の適法性を裏付けるものとして機能する。
事件番号: 昭和24(れ)399 / 裁判年月日: 昭和26年1月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】供出義務を免れ、かつ還元配給を受ける目的で、保有米の事実を秘匿して虚偽の申告を行い、担当吏員を誤信させた行為には、詐欺罪の犯意が認められる。 第1 事案の概要:被告人は、昭和21年度の収穫米約13石および前年度からの繰越し籾約6石を保有していた。しかし、供出義務の一部を免れ、かつ主食の還元配給を受…