判旨
訴訟遅延のみを目的とする裁判官への忌避申立ては不適法であり、それに対する決定に憲法判断が含まれない限り、特別抗告の要件を充足しない。
問題の所在(論点)
訴訟遅延のみを目的とした忌避申立てを退けた原決定に対し、憲法上の判断が含まれていない場合に、刑訴法(施行当時の応急措置法等)に基づく特別抗告が可能か。
規範
特別抗告の適法性は、原決定において憲法違反等の憲法上の判断が示されているか否かによって決せられる。また、訴訟遅延のみを目的とする忌避申立ては、適法な申立ての要件を欠く。
重要事実
抗告人は、東京高等裁判所の裁判長判事に対する忌避申立てを行ったが、原決定により当該申立ては訴訟遅延のみを目的とするものであると判断された。抗告人はこれを不服として最高裁判所に特別抗告を申し立てた。
あてはめ
原決定は、抗告人による忌避申立てが「訴訟遅延のみを目的とするもの」であると事実認定を行っているに過ぎない。この判断過程において、原決定は憲法上の具体的な解釈や判断を示していない。したがって、刑事訴訟法所定の特別抗告の理由である憲法違反の主張は、前提を欠くものと解される。
結論
本件特別抗告は、特別抗告の要件を具備しない不適法なものとして、棄却を免れない。
実務上の射程
忌避権の濫用(訴訟遅延目的)に対する裁判所の厳格な姿勢を示す。実務上、忌避申立てを却下する決定に対して特別抗告を申し立てる際には、単なる事実誤認の主張ではなく、具体的かつ実質的な憲法違反の指摘が必要であることを示唆している。
事件番号: 昭和26(ク)143 / 裁判年月日: 昭和26年8月24日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、原決定における憲法判断の不当を理由とする場合に限られ、単なる訴訟法違反の主張を憲法違反に名を借りて述べることは許されない。 第1 事案の概要:抗告人は、立証準備のための公判期日続行申請が容れられなかったことが裁判官の忌避事由に当たると主張し、忌避申立却下決定に対する抗告を…
事件番号: 昭和26(し)27 / 裁判年月日: 昭和26年8月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対しては、特別に認められた場合(刑訴応急措置法18条等)を除き、原則として抗告を申し立てることはできない。本件の保釈取消及び保証金没取の決定に対する抗告は、かかる特別の許容事由に該当しないため不適法である。 第1 事案の概要:恐喝被告事件で保釈中であった被告人Aは、東京高等裁判所により…
事件番号: 昭和26(ク)176 / 裁判年月日: 昭和26年10月6日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法が特に定めた場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法適合性に関する判断を不当とするもの(特別抗告)に限定される。 第1 事案の概要:抗告人は、民事事件の決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた。しかし、その抗告理由の内容は、原決定が憲法に違反…