判旨
被告人の本籍地は被告人を特定する事項にすぎず、判決書や公判調書の必要的記載事項ではないため、その記載が不明や自称であっても判決に影響を及ぼす違法とはならない。
問題の所在(論点)
判決書や公判調書において、被告人の本籍地が正確に記載されていないことが、刑事訴訟法405条の上告理由(判決に影響を及ぼすべき法令の違反等)に該当するか。すなわち、本籍地の正確な記載が判決書等の必要的記載要件であるかが問題となる。
規範
被告人の氏名、年齢、職業、住居、本籍といった事項は、被告人の同一性を特定するための識別情報である。これらは判決書(刑事訴訟規則56条)や公判調書(同44条)において必要的記載事項とされているわけではなく、これらを記載する場合であっても「不明」や「自称」等と記載することで足りる。
重要事実
被告人が刑事裁判において判決を受けた際、その判決書等に記載された被告人の本籍地に関して、弁護人が事実と異なると主張して上告した事案。具体的にどのような記載がなされていたかや、実際の正確な本籍地については、判決文からは不明である。
あてはめ
本籍地は、あくまで被告人という特定の個人を識別・特定するための事項にすぎない。刑事訴訟規則44条(公判調書の記載事項)や56条(判決書の記載事項)を参照しても、本籍地を厳密に確定して記載することまでは要求されていない。したがって、本籍地が特定できない場合に「不明」や「自称」と記載しても、書式の不備や手続の違法は存在しないといえる。本件の上告趣意は原判決の内容そのものとは無関係な事項を前提としている。
結論
被告人の本籍地の記載に関する不備は、適法な上告理由に当たらない。
実務上の射程
被告人の特定がなされている限り、本籍地等の属性情報の軽微な誤りや不明記載は判決の効力に影響しないことを示す。答案上は、被告人の同一性が争点となる場面での補足的な論拠として活用できるが、実務上は訴訟記録の正確性を担保する観点から正確な記載が望まれることに留意が必要である。
事件番号: 昭和26(あ)3450 / 裁判年月日: 昭和26年12月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において事実誤認の主張は適法な上告理由とならず、原判決の事実認定の手続に違法がない限り、判例違反の主張も認められない。 第1 事案の概要:被告人および弁護人が、第一審および控訴審の事実認定に誤りがあるとして上告した事案。弁護人は、原判決(控訴審)が第一審の事実認定を維持した点について、判例違…