副検事が、既に適法に作成した供述調書の記載に対して爾後の尋問に際し変更を申立てても、その申立は、刑訴第一九八条第四項にいわゆる増減変更の申立にあたらない。
副検事のすでに作成した供述調書の記載に対する変更申立と刑訴法第一九八条第四項
刑訴法198条4項
判旨
刑事訴訟法198条4項に規定される「増減変更の申立」とは、取調べの過程で作成された調書の記載を訂正することを指し、既に適法に作成を了した調書記載の自白内容を、後の取調べにおいて実体的に変更することを求めることはこれに該当しない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法198条4項の「増減変更」の申立は、既に作成が完了した過去の供述調書の記載内容を変更・訂正することを求める場合にも認められるか。
規範
刑事訴訟法198条4項が定める、被疑者による供述調書の閲覧・読み聞かせ後の増減変更の申立は、当該取調べ手続きの過程において作成された調書の正確性を担保するためのものである。したがって、既に適法に作成を完了した既往の調書の内容について、後の別の取調べ機会にその記載内容自体を訂正・変更させることを求めることは、同項の予定する増減変更の申立にはあたらない。
重要事実
被告人は、副検事による取調べの際、既に適法に作成が完了していた過去の供述調書(自白を記載したもの)の内容について、その後の別の取調べに際して記載の変更を申し立てた。原審はこの申立てを拒絶したが、被告人はこれが刑訴法198条4項に違反するとして、憲法違反および訴訟法違反を理由に上告した。
あてはめ
被告人が求めたのは、既往の取調べにおいて適法に作成を終えた調書に記載されている自白の内容を、後日の取調べにおいて実体的に変更することである。これは調書作成時の確認手続として認められる増減変更の申立の範囲を逸脱しており、法が予定する「記載の増減変更」の概念には該当しないといえる。また、一審判事による自白強要等の事実も認められず、憲法違反等の主張も前提を欠く。
結論
本件申立は刑訴法198条4項の増減変更には該当せず、原審の判断に法令違反はない。したがって、被告人の上告を棄却する。
実務上の射程
供述調書作成手続における増減変更権(刑訴法198条4項)の時的・対象的な範囲を画した判例である。答案上では、被疑者が作成済みの調書内容を後から争う場合、同条項に基づく訂正権の行使ではなく、公判廷での否認や任意性の争い、あるいは再度の取調べにおける供述による上書きの問題として整理すべきであることを示唆している。
事件番号: 昭和26(あ)1418 / 裁判年月日: 昭和26年9月6日 / 結論: 棄却
一 刑訴法第三九三条第一項本分が、控訴審における事実取調の必要の有無を裁判所の裁量に委ねたことは、憲法に違反しない。 二 しかし、現行法上控訴審はいわゆる事後審として認められているのであつて控訴審における事実の取調は第一審判決の当否を判断するに必要な範囲にかぎられるのであり、その必要の有無は刑訴三九三条一項但書の場合を…