判旨
旧物価統制令等における「営業」の意義に関し、営利の目的をもって有償的譲渡(販売)を反復継続する意思で行う場合には、仕入行為が反復されることは要件とならない。
問題の所在(論点)
旧物価統制令等の違反行為に関し、営利目的の販売行為を反復して行う場合に、その前提となる仕入行為も反復して行われることが「営業(業として)」の要件として必要か。
規範
「営業」または「業として」行う行為とは、営利の目的をもって、特定の行為(有償的譲渡等)を反復継続する意思をもって行うことを指す。この際、販売行為が反復継続されるのであれば足り、その前提となる仕入行為自体が反復してなされることまでを必要とするものではない。
重要事実
被告人が、営利の目的をもって有償的譲渡(販売行為)を反復して行った事案。弁護人は、販売行為のみならず仕入行為も反復してなされることが「営業」の成立に必要であると主張し、原審の判断に違法があると訴えて上告した。
あてはめ
本件において被告人は、営利の目的をもって販売(有償的譲渡)を反復して行っている。弁護人が援用した判例は、あくまで販売行為の反復継続性を重視するものであり、仕入行為の反復までを要求する趣旨ではない。したがって、仕入が単発的であっても、販売が営利目的で反復される以上、当該行為は「営業」としての性質を備えているといえる。
結論
仕入行為を反復してなすことは、「営業」としての要件ではない。したがって、原審の判断に違法はなく、上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
行政刑法や特別刑法における「業として」の意義を検討する際の基礎となる判例である。仕入・製造といった準備段階の反復性ではなく、対外的な取引行為(販売等)の反復継続性に着目して「業」該当性を判断すべきという実務上の指針を示している。
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いわゆる進駐軍用物資の揮発油であつても、石油製品配給規則による統制の対象となるものと解すべきである。
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