判旨
再上告において、原審で主張されず判断もされていない事項を主張すること、および証拠申請の却下という原審の裁量権内の措置を非難することは、再上告の適法な理由には当たらない。
問題の所在(論点)
原審で主張・判断されていない事項や、裁判所の証拠採否に関する裁量権行使への非難が、刑訴法上の適法な再上告理由(刑訴応急措置法17条)に該当するか。
規範
再上告の適法な理由は、法律(本件では刑訴応急措置法17条)に定められた事由に限られ、原審において主張・判断されていない事項や、事実誤認の疑い、あるいは裁判所の裁量権の範囲内にある証拠採否等の措置に対する不服は、適法な上告理由を構成しない。
重要事実
被告人両名の弁護人は、第二審における証拠申請が認められなかった点、および行政官庁による衣料の配給に関する措置を非難する内容を再上告趣意として主張した。しかし、これらの主張は原審において被告人および弁護人のいずれからもなされておらず、原審による判断も経ていないものであった。
あてはめ
弁護人が主張する内容は、第一に原審において全く提出・審理されていない新事実に類する事項であり、上告審が事後審であることに鑑みれば検討の対象外である。第二に、証拠申請の却下は裁判所の訴訟指揮上の裁量権に属する事項であり、これが著しく不当である等の特段の事情がない限り、単なる裁量行使への不服は法律上の上告理由とならない。したがって、本件の主張はいずれも法定の再上告理由を欠く。
結論
本件各上告を棄却する。再上告趣意は適法な理由にあたらない。
実務上の射程
刑事訴訟において、上告審(再上告審)が法律審であり、原則として原審の判断の当否を記録に基づき審査するものであるという「事後審制」の原則を確認する際に用いられる。特に、証拠採否の裁量性や、原審で主張していない事項の不許可を論ずる際の根拠となる。
事件番号: 昭和26(れ)595 / 裁判年月日: 昭和26年8月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認および量刑不当の主張は、刑事訴訟法上の適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人が、原審の認定していない事実(証明書の下附等)を前提として事実誤認を主張するとともに、量刑が不当であるとして上告を申し立てた事案。 第2 問題の所在(論点):事実誤認および量刑不当の主張が、刑事訴…
事件番号: 昭和25(あ)1313 / 裁判年月日: 昭和27年2月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条所定の上告理由に該当しない量刑不当や単なる法令違反、原審で主張されていない事項の主張は、適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件について上告を申し立てた際、弁護人は憲法違反の語を用いつつ、実質的には刑訴法違反、量刑不当、および第一審の認定と異なる事実を前提…
事件番号: 昭和26(れ)1719 / 裁判年月日: 昭和26年11月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、上告理由が刑事訴訟法405条に該当せず、かつ同法411条を適用して原判決を破棄すべき事由も認められないとして、上告を棄却した。 第1 事案の概要:本件は、被告人側が原判決に不服を申し立て、弁護人が上告趣意書を提出して上告した事案である。判決文からは具体的な起訴事実や第一審・控訴審の判断の…
事件番号: 昭和25(れ)1507 / 裁判年月日: 昭和25年12月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法律審である最高裁判所に対する上告において、事実認定の不当や量刑の不当を主張することは、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原裁判所の認定した事実および刑の量定を不服として上告を申し立てた事案。 第2 問題の所在(論点):事実誤認および量刑不当を理由とする上告が、法律審におけ…
事件番号: 昭和26(れ)1864 / 裁判年月日: 昭和26年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条の上告理由に該当しない場合、特段の事情がない限り、裁判所は職権で破棄すべき事由(同法411条)を認めることはない。 第1 事案の概要:被告人側は原判決に対して上告を申し立てたが、その主張内容(上告趣意)が刑事訴訟法405条に定める各事由(憲法違反、判例違反等)に該当するかどうかが…