判旨
準強盗罪の既遂と未遂の区別は、窃盗行為の既遂・未遂を基準に決定されるべきであり、窃取の事実が既遂であれば、その後の暴行・脅迫が逮捕免脱等の目的で行われた場合、準強盗罪は既遂となる。
問題の所在(論点)
準強盗罪における既遂・未遂の区別は、窃盗行為と暴行・脅迫行為のいずれを基準に判断すべきか。また、物体を自己の実力支配に移した段階で窃盗は既遂といえるか。
規範
準強盗罪(刑法238条)は、窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときに成立する。同罪の既遂と未遂の区別については、基本となる窃盗罪の既遂・未遂を基準とすべきであり、他人の支配内にある物体を自己の実力支配に移した時点をもって既遂に達すると解する。
重要事実
被告人、共同被告人AおよびBは、他人の財物を窃取する目的で実行行為に及び、物体を自己の実力支配に移して窃取を完了した。その後、被告人らは逮捕を免れる目的で、被害者Cに対し、同人の反抗を抑圧するに足りる程度の脅迫を加えた。弁護側は、窃盗の成否や準強盗の既遂時期について争い、上告を申し立てた。
あてはめ
本件において、被告人らは物体を奪取して自己の実力支配下に移しており、窃盗罪は既遂の域に達していたと認められる。その上で、逮捕を免れる目的で行われた被害者Cに対する脅迫は、反抗を抑圧するに足りる程度のものであった。したがって、窃盗既遂の段階で準強盗の構成要件的行為が行われた以上、準強盗罪全体の既遂が成立するといえる。
結論
窃盗が既遂である以上、その後の逮捕免脱目的の脅迫により準強盗罪の既遂が成立する。したがって、これを認めた原判決は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
準強盗罪の既遂時期が「窃盗の既遂」にあることを明示したリーディングケースである。答案上は、まず窃盗の既遂(実行の着手・占有移転)を論じ、その後に暴行・脅迫が目的(逮捕免脱等)をもってなされたことを示すことで、準強盗既遂の論理を構成する際に用いる。
事件番号: 昭和23(れ)1771 / 裁判年月日: 昭和25年11月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】準強盗罪(刑法238条)における「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をした」という要件については、原判決の認定した事実関係に基づき肯定される。 第1 事案の概要:被告人は、窃盗の機会において、事後的に暴行又は脅迫を用いたとして準強盗罪…
事件番号: 昭和26(れ)2450 / 裁判年月日: 昭和27年5月6日 / 結論: 棄却
被告人が本件起訴に係る強盗関係の犯行後一年以上経過した後に原判決指摘の如き前科にかゝる強盗行為を更に犯したことが明白であつてしかも被告人は、本件起訴に係る犯行により逮捕された後昭和二一年四月二六日係検察官に対し深く前非を悔い、真人間となつて更正することを誓つているような場合には両犯罪の間に連続犯の関係を認めるべきではな…