判旨
準強盗罪(刑法238条)における「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をした」という要件については、原判決の認定した事実関係に基づき肯定される。
問題の所在(論点)
刑法238条(準強盗罪)の構成要件である、窃盗犯による目的(逮捕免脱等)を伴う暴行・脅迫の事実が認められるか。
規範
刑法238条の準強盗罪が成立するためには、窃盗が、(1)財物を得てこれを取り返されることを防ぐ目的、(2)逮捕を免れる目的、又は(3)罪跡を隠滅する目的のいずれかをもって、暴行又は脅迫を加えることが必要である。
重要事実
被告人は、窃盗の機会において、事後的に暴行又は脅迫を用いたとして準強盗罪の事案で起訴された。原審は、被告人が窃盗の犯行に関連して、上述のいずれかの目的をもって暴行又は脅迫を行った事実を認定し、準強盗罪の成立を認めた。被告人側は、原判決の事実認定に誤認があるとして上告した。
あてはめ
本件において、原判決が挙げた証拠を検討すると、被告人が窃盗に際して準強盗罪の構成要件に該当する暴行・脅迫を行ったという事実認定は、正当なものとして肯認できる。したがって、被告人側の事実誤認の主張は、適法な事実に照らして採用できない。
結論
被告人の行為に準強盗罪の成立を認めた原判決の事実認定は適当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は簡潔なものであるが、準強盗罪の成否について、原審の認定した事実関係(目的を伴う暴行・脅迫)を最高裁が肯定した事例として位置付けられる。答案作成上は、238条の文言(目的および暴行・脅迫)と窃盗の機会との関連性を明示する際の根拠の一つとなる。
事件番号: 昭和22(れ)107 / 裁判年月日: 昭和22年11月29日 / 結論: 棄却
一 日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に関する法律第一〇條第三項の規定は公判廷外の自白が被告人の不利益な唯一の證拠である場合にこれにより有罪とされ又は刑罰を科せられないという趣旨であつて公判廷の自白を包含しないと解すべきである。 二 刑法第二三八條の規定は窃盜が財物の取還を拒ぎ又は逮捕を免かれ若しくは罪跡を湮…
事件番号: 昭和24(れ)121 / 裁判年月日: 昭和24年7月9日 / 結論: 破棄自判
原判示二の事實につき、原判決の確定したるところは、窃盜は未遂(障碍未遂)に終つたものであること明らかである。しからば、窃盜未遂犯人による準強盜行爲の場合は、準強盜の未遂を以つて問擬すべきものであることは當然であるにかかわらず、原審はその擬律において刑法第二三八條同第二三六條を適用し、以つて準強盜の既遂をもつて問擬したの…
事件番号: 昭和26(あ)4448 / 裁判年月日: 昭和27年3月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】準強盗罪の既遂と未遂の区別は、窃盗行為の既遂・未遂を基準に決定されるべきであり、窃取の事実が既遂であれば、その後の暴行・脅迫が逮捕免脱等の目的で行われた場合、準強盗罪は既遂となる。 第1 事案の概要:被告人、共同被告人AおよびBは、他人の財物を窃取する目的で実行行為に及び、物体を自己の実力支配に移…