判示事實の前半では準強盜を後半では強盜と認められるような記載をして準強盜の罰條を適用した判決は、法令適用の基礎事實を明確にしなかつたので破棄差戻を相當とする。 事実認定の判示に当り、その前半においては、屋内で金品を物色中家人が目を覚したので逮捕を免かれたい気持から迫これを脅迫したと判示しながら、その後半においては、右の脅迫により金品を強取したと判示して準強盗に問擬した判決は、準強盗か強盗か法令適用の基本たる事実認定の判示に疑義のある違法の判決である。
準強盜につき事實摘示の明確を缺く判決の一例
刑法236條1項,刑法238條,舊刑訴法410條19號
判旨
窃盗の目的で他人の住居に侵入し、金品物色中に発見されたため、逮捕を免れる目的で暴行・脅迫を加え、その後に財物を領得した場合は、準強盗罪(刑法238条)ではなく強盗罪(236条)が成立し得る。
問題の所在(論点)
窃盗の物色中に発見され、逮捕を免れる目的で暴行・脅迫を行った後に財物を領得した場合、準強盗罪(238条)と強盗罪(236条)のいずれが成立するか。
規範
実行着手後、既遂に至るまでの間に暴行・脅迫が行われ、これによって抵抗を抑圧し、その後に財物を奪取した場合には、事後強盗(準強盗)ではなく、当初から強盗罪の成立を検討すべきである。すなわち、暴行・脅迫が財物奪取の手段として機能している場合には、刑法236条が適用される。
重要事実
被告人ら3名は共謀の上、窃盗目的で住宅に侵入し金品を物色していたところ、就寝中の被害者に気づかれた。逮捕を免れる目的で拳銃や日本刀を突きつけて被害者の抵抗を抑圧し、その間に別の被告人が居間の箪笥から衣類を取り出し、持ち運び可能な状態にして実力的支配下に置いた(財物を領得した)。
あてはめ
原判決は「逮捕を免れたい気持」から脅迫した点に注目して準強盗罪を適用したが、事実認定の後半では、脅迫によって被害者の抵抗を抑圧した状態に乗じて衣類を実力支配下に置いた(財物を奪取した)ことが示されている。このように、暴行・脅迫が先行し、その抑圧状態を利用して財物を取得している以上、それは強盗罪の構成要件に該当する可能性が高い。主観的に逮捕免脱目的があったとしても、客観的に強奪の手段として機能している以上、強盗罪の適用を検討すべきである。
結論
原判決の事実認定には疑義があり、強盗罪ではなく準強盗罪を適用した判断は不当であるため、破棄差戻しを免れない。
実務上の射程
窃盗が既遂になる前に暴行・脅迫が行われた場合の罪名選択の基準となる。実務上、窃盗の機会に暴行が行われたとしても、それが領得の手段となっている(暴行→領得の流れがある)場合は、事後強盗ではなく通常の強盗罪として律すべきであることを示唆している。
事件番号: 昭和23(れ)1771 / 裁判年月日: 昭和25年11月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】準強盗罪(刑法238条)における「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をした」という要件については、原判決の認定した事実関係に基づき肯定される。 第1 事案の概要:被告人は、窃盗の機会において、事後的に暴行又は脅迫を用いたとして準強盗罪…
事件番号: 昭和22(れ)107 / 裁判年月日: 昭和22年11月29日 / 結論: 棄却
一 日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に関する法律第一〇條第三項の規定は公判廷外の自白が被告人の不利益な唯一の證拠である場合にこれにより有罪とされ又は刑罰を科せられないという趣旨であつて公判廷の自白を包含しないと解すべきである。 二 刑法第二三八條の規定は窃盜が財物の取還を拒ぎ又は逮捕を免かれ若しくは罪跡を湮…