被告人が本件起訴に係る強盗関係の犯行後一年以上経過した後に原判決指摘の如き前科にかゝる強盗行為を更に犯したことが明白であつてしかも被告人は、本件起訴に係る犯行により逮捕された後昭和二一年四月二六日係検察官に対し深く前非を悔い、真人間となつて更正することを誓つているような場合には両犯罪の間に連続犯の関係を認めるべきではない。
犯意継続による連続犯関係の認められない一事例
刑法55条(昭和22年法律124号による削除前),刑法236条
判旨
犯行の間隔、被告人の更生の誓い、及び逃亡等の経緯に照らし、前の犯行と後の犯行との間に犯意の継続が認められない場合には、連続犯の関係は成立しない。また、前科の事実は自白のみならず適法な証拠調べを経た前科調書等に基づき認定することができる。
問題の所在(論点)
旧刑法下の連続犯の成否に関し、犯行後一年以上が経過し、かつ逮捕後に更生を誓約した経緯がある場合でも、犯意の継続性が認められるか。
規範
複数の犯罪行為が連続犯(旧刑法下の概念)として一罪を構成するか否かは、犯行の時間的間隔、犯行の経緯、及び被告人の主観的な犯意の継続性の有無を総合して判断すべきである。特に、一度逮捕され、更生を誓約するなどの事情がある場合には、特段の事情がない限り犯意の継続は否定される。
重要事実
被告人は昭和20年12月から同21年1月にかけて強盗等の犯行に及んだ。その後、昭和21年4月に検察官に対し深く反省し真人間として更生することを誓ったが、昭和22年2月に仮監から逃亡し、同年5月に再逮捕されるまでの約3ヶ月の間に、さらに別の強盗等の犯行(前科に係るもの)に及んでいた。被告人は、本件起訴に係る犯行と前科に係る犯行が連続犯の関係にあると主張した。
事件番号: 昭和26(あ)4448 / 裁判年月日: 昭和27年3月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】準強盗罪の既遂と未遂の区別は、窃盗行為の既遂・未遂を基準に決定されるべきであり、窃取の事実が既遂であれば、その後の暴行・脅迫が逮捕免脱等の目的で行われた場合、準強盗罪は既遂となる。 第1 事案の概要:被告人、共同被告人AおよびBは、他人の財物を窃取する目的で実行行為に及び、物体を自己の実力支配に移…
あてはめ
本件起訴に係る犯行と前科に係る犯行との間には、1年以上の長い時間的間隔が存在する。また、被告人は逮捕後の取調過程で一度は深く前非を悔い更生を誓っており、この時点で前の犯意は断絶したと評価できる。その後の再犯は、逃亡中に行われた別個の動機に基づくものと解されるため、両者の間に犯意の継続による連続犯の関係を認めることはできない。
結論
本件起訴に係る犯罪と前科に係る犯罪との間に連続犯の関係は認められない。
実務上の射程
現行刑法下で連続犯の規定は削除されているが、数個の行為が包括して一罪となるか(包括一罪)、あるいは犯意が更新されたとして併合罪(刑法45条)となるかの区別において、時間的間隔や逮捕・更生の誓約といった犯意の断絶要素を考慮する際の判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)3067 / 裁判年月日: 昭和27年4月10日 / 結論: 棄却
累犯加重をするにあたり再犯を三犯と誤つて刑法第五九条を適用しても、刑訴四一一条を適用すべき違法とは認められない。
事件番号: 昭和26(れ)1636 / 裁判年月日: 昭和26年12月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗と強姦をあらかじめ併せて敢行しようと企図した上で、一連の行為としてこれらを行った場合、それらの罪は一罪(強盗強姦罪等)として評価され得ると解される。 第1 事案の概要:被告人は、あらかじめ強盗と強姦の両罪を併せて敢行しようと企てた上で、実際にこれらの行為に及んだ。原判決では、この計画性を証拠に…
事件番号: 昭和27(あ)1043 / 裁判年月日: 昭和28年7月18日 / 結論: 棄却
前科が累犯加重の理由となるのは、前後の罪の刑がいずれも懲役刑であつて、前の罪の刑につき執行を終り又は執行の免除があつた日から五年以内にさらに後の罪を犯し懲役刑に処すべき場合であれば足りるのであり、後の罪につき右の五年以内に有罪判決の言渡があつたことを要するものでないと解するを相当とする。さればこの趣旨に出でた原判決は正…
事件番号: 昭和25(あ)912 / 裁判年月日: 昭和26年1月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法54条1項後段の牽連犯が成立するためには、犯人の主観のみならず、数罪間に罪質上通例として手段・結果の関係が存在することを要する。窃盗罪と詐欺罪の間には、客観的にそのような手段・結果の関係が存在するとは認められないため、併合罪となる。 第1 事案の概要:被告人は第一の所為として窃盗罪を犯し、第二…