判旨
強盗と強姦をあらかじめ併せて敢行しようと企図した上で、一連の行為としてこれらを行った場合、それらの罪は一罪(強盗強姦罪等)として評価され得ると解される。
問題の所在(論点)
強盗罪と強姦罪を同時に行う意図をもって実行した場合、それらの罪が如何なる罪数関係に立つか。また、あらかじめ両罪を併せて敢行しようとする企図があった場合に、包括的な評価が可能か。
規範
特定の目的の下、複数の異なる犯罪類型に該当する行為を計画的に実行した場合において、それらが一連の犯意に基づき、かつ実行行為の密接性があるときは、包括的に一罪として処断されるべきである。
重要事実
被告人は、あらかじめ強盗と強姦の両罪を併せて敢行しようと企てた上で、実際にこれらの行為に及んだ。原判決では、この計画性を証拠に基づき認定した上で、被告人の有罪を導き出した。被告人側は上告において、原判決の罪数評価や理由の齟齬などを主張した。
あてはめ
本件では、被告人が事前に強盗と強姦を「併せて敢行しようと企てた」事実が認められる。このように、当初から一方の犯罪だけでなく他方の犯罪をも目的として一連の行動がなされた場合、別個の独立した犯罪としてのみ評価するのではなく、その計画性及び目的の共通性から、包括的な一罪(当時の法体系下での強盗強姦等)としての性質を帯びる。原判決がこの点について示した摘示事実は挙示の証拠により適法に認められるものであり、法解釈に誤りはない。
結論
被告人が予め強盗と強姦を併せて敢行しようと企てて実行した以上、原判決がそれらを一連の犯罪として認定したことは正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
事件番号: 昭和32(あ)3259 / 裁判年月日: 昭和33年6月24日 / 結論: 棄却
婦女を強姦した上所持品を強取しようと決意し、まずその前頸部を扼して失神させ被害者の自転車を隠す等の行為に出で、強姦の点は未遂に終つた後即時犯行の発覚をおそれて殺意を生じ殺害した場合は、刑法第二四〇条後段、第二四一条前段、第二四三条、第五四条第一項前段を適用すべきものである
結合犯や包括一罪の成否において、犯行前の「事前の企図」や「犯意の単一性」がいかに重要であるかを示す。司法試験においては、強盗強姦罪(刑法241条)等の成否を検討する際、犯意の連続性や機会の同一性を基礎付けるための考慮要素として活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)2474 / 裁判年月日: 昭和26年12月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人罪(刑法240条後段)の成立には、強盗の機会に殺意をもって人を死亡させた場合も含まれ、当初から殺害して金品を強取する意思で犯行に及んだ場合であっても同罪が成立する。 第1 事案の概要:被告人は、以前から自分を馬鹿にしてきたAに対し、自殺する前にAを殺害して道連れにし、そのついでにA方から金…
事件番号: 平成16(あ)2170 / 裁判年月日: 平成19年11月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗強姦・強盗殺人等の事案において、周到な準備に基づく確定的犯意、冷酷な殺害方法、遺族の峻烈な処罰感情、及び常習性を考慮し、第一審の死刑判決を是認した。 第1 事案の概要:被告人は共犯者と共謀し、3週間のうちに2名の女性を強姦または強姦未遂の上、ベルトでの絞殺や水没による窒息死という凄惨な方法で殺…
事件番号: 昭和26(れ)2450 / 裁判年月日: 昭和27年5月6日 / 結論: 棄却
被告人が本件起訴に係る強盗関係の犯行後一年以上経過した後に原判決指摘の如き前科にかゝる強盗行為を更に犯したことが明白であつてしかも被告人は、本件起訴に係る犯行により逮捕された後昭和二一年四月二六日係検察官に対し深く前非を悔い、真人間となつて更正することを誓つているような場合には両犯罪の間に連続犯の関係を認めるべきではな…
事件番号: 平成18(あ)2455 / 裁判年月日: 平成19年3月22日 / 結論: 棄却
併合罪関係にある複数の罪のうちの1個の罪のみでは死刑又は無期刑が相当とされない場合であっても,死刑又は無期刑を選択する結果科されないこととなる刑に係る罪を,これをも含めて処罰する趣旨で考慮し,上記1個の罪について死刑又は無期刑を選択することができる。