判旨
検察官による起訴時期の選択は、それが被告人に不利益を及ぼすものであっても、直ちに憲法上の権利(31条、37条等)を侵害するものとはいえず、公訴提起の有効性を左右しない。
問題の所在(論点)
検察官の起訴時期の選択が不適当であり、その結果として被告人に不利益が生じた場合、憲法(37条の公平な裁判を受ける権利や11条の基本的人権の享受等)に違反し、公訴提起が無効となるか。
規範
検察官は広範な起訴裁量権(刑事訴訟法248条)を有しており、起訴の時期をいつにするかは原則として検察官の合理的な裁量に委ねられる。起訴時期が不適当であることによって被告人に不利益が生じたとしても、それが直ちに憲法(37条、11条、39条等)違反の問題を生じさせるものではない。
重要事実
被告人AおよびBは犯罪行為を行い起訴されたが、弁護人は、検察官が本件を起訴した時期が適当でなかったために被告人らに不利益を及ぼしたと主張した。また、本件犯行と他の犯行が連続犯の関係にあることを前提に、別々に起訴されることが二重処罰の禁止(憲法39条)等に触れるとも主張した。
あてはめ
弁護人は起訴時期の不適当さを非難するが、これは刑事訴訟法405条の上告事由に当たらない。また、本件各犯行は連続犯に関する規定が廃止された後の犯行である。したがって、これらが連続犯であることを前提として「一括して裁かれるべきであったのに時期をずらして起訴されたことが憲法39条に違反する」との主張は、前提を欠き採用できない。
結論
起訴時期の選択を不当とする主張は理由がなく、本件上告は棄却される。
実務上の射程
検察官の起訴裁量を広く認める立場を前提とする。実務上、捜査の進展や余罪の状況に応じた追起訴や時期の調整は適法とされるが、被告人の防御権を著しく侵害するような極端な起訴遅延がある場合にのみ、例外的に公訴権濫用論を検討する余地が残る程度の射程である。
事件番号: 昭和26(れ)17 / 裁判年月日: 昭和26年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑不当の主張は、刑事訴訟法応急措置法13条2項(現行の刑事訴訟法402条及び411条2号参照)の下において、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件について有罪判決を受け、量刑が重すぎるとして上告を申し立てた事案。弁護人が提出した上告趣意書の内容は、実質的に量刑の不当を…