判旨
被告人に不利益な法令の適用を求める上告趣意は、上告の利益を欠き、適法な上告理由とは認められない。
問題の所在(論点)
被告人の不利益になるような法令の適用誤りを主張することが、適法な上告理由となるか。
規範
上告趣意において、原判決の法令適用が誤っている旨を主張する場合であっても、主張する正しい法令の適用が、原判決が適用した法令と比較して刑が重くなるものであるときは、被告人の不利益を招くものであるため、適法な論旨として認められない。
重要事実
被告人が物価統制令違反で起訴された事案。弁護人は、本件には原判決が適用した物価統制令9条の2および34条ではなく、同3条および33条を適用すべきであると主張した。しかし、後者の条文は前者の条文よりも刑が重いものであった。
あてはめ
弁護人が主張する法令(物価統制令3条・33条)は、原判決が適用した法令(同令9条の2・34条)よりも刑が重い。このような主張は被告人にとって不利益なものであり、不服を申し立てる利益(上告の利益)がない。したがって、法令適用の誤りに関する主張は、上告理由として不適法である。
結論
被告人に不利益な法令適用を求める主張は適法な上告趣意と認められず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法における上告の利益(不服の利益)に関する判例である。被告人側から行う上告趣意は、被告人に有利な結果をもたらすものでなければならず、結果的に重罰を求めるような主張は門前払いされる。実務上、上告趣意書を作成する際は、その主張が被告人の利益に資するかを検討する必要がある。
事件番号: 昭和25(れ)1551 / 裁判年月日: 昭和26年2月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の上告趣旨が単なる量刑不当の主張に帰する場合、それは刑訴応急措置法13条2項に基づき、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が上告を申し立てたが、その上告趣旨の内容は、一審・二審の判決における刑の量定が不当であるという主張に尽きるものであった。 第2 問題の所在(論点):被…