被告人が罰金を納めることができず、ために労役場に留置せられるためその家族が生活困難におちいるとしてもその判決が憲法二五条に違反しないことは当裁判所判例の趣旨とするところである。
被告人を労役場に留置することにより家族が生活困難におちいる場合と憲法第二五条
憲法25条,刑法18条
判旨
罰金刑の不納付に伴う労役場留置により被告人の家族が生活困難に陥るとしても、当該判決が憲法25条に違反することはない。
問題の所在(論点)
罰金不納付による労役場留置の結果、被告人の家族が生活困難に陥る場合、当該刑の言い渡しは憲法25条に違反するか。
規範
刑罰の執行により生じる付随的な不利益(被告人の家族の生活困窮等)は、刑罰制度の本質上当然に許容されるものであり、生存権を保障する憲法25条の規定に抵触するものではない。
重要事実
被告人に対し罰金刑が科されたが、被告人が罰金を完納することができず、労役場に留置されることとなった。これに対し弁護人は、労役場留置によって被告人の家族が生活困難に陥ることは、憲法25条が保障する生存権に違反すると主張して上告した。
あてはめ
労役場留置は、罰金刑の実効性を確保するための代替的な執行手段である。留置により被告人が労働に従事できず家族の扶養が困難になるとしても、それは刑罰という法的な制裁に伴う必然的な結果である。したがって、このような生活上の困窮が生じることをもって、直ちに国家が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を侵害したとはいえない。
結論
被告人の家族が生活困難に陥るとしても、労役場留置を伴う判決は憲法25条に違反しない。
実務上の射程
刑事訴訟において、被告人の経済的事情や家族の困窮を理由に量刑や執行の憲法適合性を争う際、本判例を引用して「刑罰に伴う附随的帰結」であることを論証する際の根拠となる。生存権は個別の刑罰執行を妨げるものではないことを示す典型例である。
事件番号: 昭和27(あ)3993 / 裁判年月日: 昭和28年3月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法25条は、最低限度の生活を営み得ないことを理由に犯罪行為を正当化する根拠とはならず、生存権の保障をもって直ちに違法性が阻却されることはない。 第1 事案の概要:被告人は何らかの犯罪行為(判決文からは罪名等の詳細は不明)に及んだが、その背景には最低限度の生活を営むことができないという経済的困窮が…