判旨
憲法25条の規定を根拠に具体的な量刑が不当であると主張することは、適法な上告理由にはあたらない。また、公訴提起後に大赦があった場合には、裁判所は免訴の言渡しをしなければならない。
問題の所在(論点)
生存権を規定する憲法25条違反を理由とした量刑不当の主張が適法な上告理由となるか。また、上告審において大赦があった事実を職権で調査し、公訴事実の一部について免訴を言い渡すべきか。
規範
憲法25条は生存権を保障する規定であり、これに違反することを理由として具体的刑罰の不当を主張することは、刑事訴訟法405条に定める適法な上告理由にならない。また、刑事訴訟法337条3号に基づき、確定判決前に大赦があったときは、裁判所は免訴の判決を言い渡すべきである。
重要事実
被告人が小豆、手芒、うずら豆等の取引に関して物価統制令違反の罪に問われた事案である。被告人側は、原判決の量刑が憲法25条に違反するとして上告したが、上告審の継続中に昭和27年政令第117号による大赦が実施され、対象品目の一部がその範囲に含まれていた。
あてはめ
被告人の主張は憲法違反をいうが、その実質は単なる量刑不当の主張に帰しており、刑事訴訟法405条の定める適法な上告理由に当たらないと評価される。一方で、職権による調査によれば、公訴事実のうち小豆等に関する点は大赦の対象となったことが認められるため、刑事訴訟法411条5号に基づき原判決を破棄し、自判により免訴を言い渡すのが相当である。その他の事実については物価統制令等の法令を適用し、併合罪として罰金刑を科すべきである。
結論
憲法25条違反を理由とする量刑不当の主張は適法な上告理由ではない。大赦の対象となった公訴事実については免訴とし、その他の罪について罰金5万円に処する。
実務上の射程
生存権の規定を直接的な量刑判断の根拠として争うことの限界を示す。また、刑事手続における免訴事由(大赦)の職権調査義務と自判のあり方を示す事例として活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)2735 / 裁判年月日: 昭和27年12月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法25条1項は、国に対して国民一般の生活を保障すべき国政上の任務を課したものであり、個々の国民が国家に対して具体的・現実的な権利を直接取得することを認めたものではない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件における上告審において、憲法違反を主張した事案。弁護人は、憲法25条1項の法意に反する事態が…