判旨
食糧管理法に基づく許可なく生産者から米麦を買い受ける行為は、同法9条・31条等の規定に違反し、処罰の対象となる。また、判決確定前に大赦が行われた公訴事実については、刑事訴訟法に基づき免訴の言渡しをすべきである。
問題の所在(論点)
1. 食糧管理法の規定に反して米麦を買い受けた行為に対し、いかなる法令を適用して処罰すべきか。2. 公訴事実の一部について大赦があった場合、裁判所はどのような裁判をすべきか。
規範
特定の行政規制(食糧管理法等)により禁止された取引行為を行った場合、当該法律の罰則規定(同法31条等)及び併合法規に基づき刑を科す。また、訴追された事実について大赦(昭和27年政令第117号等)があったときは、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴を言い渡さなければならない。
重要事実
被告人は、昭和23年6月頃から昭和25年1月初旬までの間、自宅等において、生産者からその生産する米麦合計79俵を買い受けた。また、これとは別に物価統制令違反の事実でも起訴されていたが、当該物価統制令違反については、上告審での審理中に「昭和二十七年政令第百十七号」による大赦が実施された。
あてはめ
1. 被告人が生産者から直接米麦を買い受けた行為は、食糧管理法9条、同31条、同施行令6条に抵触する。昭和24年2月1日以降の行為については罰金等臨時措置法2条を適用し、それ以前については刑法6条により従前の例による。これらは刑法45条前段の併合罪に該当し、同法47条等の規定に従い重い方の刑期で加重する。2. 物価統制令違反の点については、昭和27年政令第117号により既に大赦がなされていることが認められる。したがって、刑事訴訟法411条5号に基づき原判決を破棄した上で、同法337条3号を適用し、免訴の言渡しをするのが相当である。
結論
被告人を懲役8月及び罰金7万円に処し、懲役刑については3年間の執行猶予を付す。物価統制令違反については免訴とする。
事件番号: 昭和26(れ)1612 / 裁判年月日: 昭和28年7月9日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】判決後に大赦が行われた場合、大赦の対象となった犯罪事実については免訴の言渡しをすべきであり、併合罪のうち大赦の対象外である罪については、別途刑を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令違反(2件)および食糧管理法違反の罪により原審で有罪判決を受けた。しかし、上告審での審理中に「…
実務上の射程
本判決は、食糧管理法違反の罪数や罰則の適用関係を示すとともに、刑事手続上の「免訴」事由(大赦)が認められる場合の処理手順を示している。実務上、公判継続中に恩赦・大赦があった際の必要的免訴の判断枠組みとして参照される。
事件番号: 昭和27(あ)536 / 裁判年月日: 昭和27年11月13日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人が統制額を超過する価額で販売する目的で米麦を所持した行為は物価統制令違反に該当するが、その後の大赦令により赦免された場合には、免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人A及びBは、統制額を超過する価額で販売する目的をもって粳精米および丸麦を所持した。この行為は物価統制令13条の2(…
事件番号: 昭和26(れ)2500 / 裁判年月日: 昭和29年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法令の改廃により刑が廃止された場合、刑訴法337条2号に基づき免訴の判決を言い渡すべきであるが、大赦令の布告があった場合も、刑訴法337条3号により同様に免訴の言渡しをなすべきである。 第1 事案の概要:被告人らは、物価統制令に違反し、純綿金巾および純綿ネルを統制額を超えて取引したとの公訴事実(原…
事件番号: 昭和26(あ)2586 / 裁判年月日: 昭和27年12月25日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】食糧管理法による経済統制は、憲法25条の生存権規定に違反せず、同法の規定に基づき処罰することは憲法上許容される。 第1 事案の概要:被告人は、食糧管理法および同法施行令に基づき禁止されていた米の買受け行為等を行った。これに対し、第一審および原審は、食糧管理法違反および物価統制令違反の罪を認定し、併…
事件番号: 昭和26(あ)1928 / 裁判年月日: 昭和27年12月19日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、裁判所は当該部分について免訴の言渡しをしなければならず、残余の事実が有罪であるときは、原判決を破棄した上で一部免訴とし、残部を処罰すべきである。 第1 事案の概要:被告人は小豆および糯精米(もちせいまい)を不法に買い受けたとして、食糧管理法違反および物価統制…