判決宣告期日が如何にして指定されたか、またその期日の通知が弁護人及び被告人等になされたものであるか否かを記録上窺い知る由もないときは原審の訴訟手続が適法になされたものといい得ないが、前示裁判宣告期日には弁護人三名が出廷していること明らかでその公判手続の公正に行われたことは認め得るのであるから、右手続上の瑕疵は原判決に影響がない。
控訴審における判決宣告期日の指定及びその通知に関する手続上の瑕疵が判決に影響を及ぼさない一事例
刑訴法273条,刑訴法411条
判旨
恐喝罪の成否において、犯人の経歴や素行は相手方がそれを知っていることに乗じて畏怖心を生ぜしめる手段となり得るため、恐喝の態様を明らかにする事情として考慮できる。また、判決宣告期日の指定や通知に手続上の瑕疵があっても、弁護人が出頭し手続の公正が担保され、被告人に不利益がなければ判決に影響を及ぼす違法とはならない。
問題の所在(論点)
1. 被告人の経歴や素行を恐喝の態様として考慮することが、憲法14条や予断排除原則に反するか。 2. 判決宣告期日の指定・通知手続に不備がある場合、直ちに「判決に影響を及ぼすべき訴訟手続の法令違反」となるか。
規範
1. 恐喝罪(刑法249条)における「脅迫」の認定において、犯人の経歴・素行等の属性は、相手方がそれを認識していることを利用して畏怖心を生じさせる手段となり得るため、恐喝の手段・方法を構成する一事情として考慮し得る。 2. 訴訟手続に瑕疵(期日指定・通知の不備等)があっても、弁護人の出廷等により公判手続の公正が認められ、被告人の権利に実質的な不利益が生じていない場合には、判決に影響を及ぼすべき法令違反(刑訴法379条)とはならない。
重要事実
被告人が恐喝罪に問われた事案。第一審及び原審において、被告人の社会的身分や経歴・素行に関する判示や尋問が行われた。また、原審の判決宣告期日の指定・通知手続が不明確であり、当初指定された期日とは異なる日に突如判決が宣告されたが、その際、弁護人3名が出廷していた。被告人側は、身分による差別的取扱いや予断に基づく審判、及び判決宣告期日の指定不備を理由に上告した。
あてはめ
1. 恐喝犯人の経歴・素行は、相手方がそれを知っている場合、言動と相まって相手方に畏怖心を生じさせるために利用され得る。したがって、これらを判示することは恐喝の手段方法を明らかにするために必要であり、差別的取扱いや予断に基づくものとはいえない。 2. 原審の判決宣告期日の指定・通知に関する記録が不明であり適法とは言い難いが、当該期日には弁護人3名が出廷しており、公判手続の公正は保たれている。また、上告も適法な期間内になされており、被告人に実質的な不利益はないため、判決に影響を及ぼす瑕疵とは認められない。
結論
被告人の経歴等の考慮は恐喝罪の態様の認定として適法であり、判決宣告期日の通知等の瑕疵も被告人に不利益を与えない限り、判決に影響を及ぼす違法とはならない。上告棄却。
実務上の射程
1. 恐喝罪の「脅迫」の認定において、具体的言動だけでなく、加害者の社会的属性(暴力団関係者等)や前科を被害者が認識していることを利用した場合の評価に用いる。 2. 刑訴法上の手続違反が「判決に影響を及ぼすべき」ものか(379条)を判断する際、弁護人の出頭による防御権の確保や、実質的な不利益の有無を基準とする際の指針となる。
事件番号: 昭和23(れ)1007 / 裁判年月日: 昭和23年10月26日 / 結論: 棄却
一 連續犯を構成する犯罪事實を判決に示すには連續して行われた數個の行爲を包括してその犯行の期間、場所、態様等を特定するに必要な程度の具體的事實を説明すれば足りるのである。 二 原判決は、被告人がAに對し自己の不良としての性行を利用して金錢の貸借を申し向け若し同人がこれに應じないときはその身邊にいかなる危害が及ぶかも知れ…