判旨
刑事訴訟において、書面(上申書等)の提出が直ちに告訴の取消しを意味するものではなく、その内容や趣旨が告訴の取消しに該当するか否かは、事実認定の問題として証拠に基づき判断される。
問題の所在(論点)
親告罪における告訴の取消しの成否、および特定の書面(上申書)の提出が告訴の取消しに該当するか否かの判断枠組み。
規範
告訴の取消しの有無は、提出された書面の文言のみならず、その作成の経緯や真意等の諸事情を総合して判断すべき事実認定の問題である。
重要事実
被告人が親告罪に問われた事案において、弁護人は「上申書」が提出されたことをもって、本件告訴は既に取り消されたものであると主張して、訴訟手続の違法を訴えた。
あてはめ
原判決は証拠に基づき、提出された上申書が本件告訴を取り消したものではないと適法に確定している。最高裁はこの事実認定に違法はなく、告訴取消しの事実は認められないと判断した。
結論
本件上告を棄却する。当該上申書の提出は告訴の取消しには当たらない。
実務上の射程
実務上、告訴取消しの意思表示は明確である必要がある。形式的に示談書や上申書が提出されても、それが当然に告訴取消しの効力を生じさせるわけではなく、事実認定のプロセスが必要であることを示す。
事件番号: 昭和22(れ)50 / 裁判年月日: 昭和22年11月24日 / 結論: 棄却
被害者が檢事に對し「告訴はしません」という語句を使用しても、その陳述全體の趣旨が犯罪事實を申告するとともに犯人の處罰を望むものであるときは、親告罪の告訴として有効である。