判旨
法定刑の範囲内において量刑を決定し実刑を科すことは、憲法36条が禁じる残虐な刑罰や、同37条1項の公平な裁判所の要件に違反するものではない。
問題の所在(論点)
法定刑の範囲内で行われた量刑および実刑の言渡しが、憲法36条の「残虐な刑罰」や憲法37条1項の「公平な裁判所の裁判」に違反し、違憲となるか。
規範
刑法が規定する法定刑の範囲内で具体的な量刑を決定し、執行猶予を付さず実刑を科す判断は、裁判所の適法な裁量権の行使であり、直ちに憲法36条(残虐な刑罰の禁止)または37条1項(公平な裁判所の裁判を受ける権利)に違反するものではない。
重要事実
上告人は、原判決が宣告した量刑および実刑を科した判断について、その不当を理由に憲法36条および37条1項に違反すると主張して上告を申し立てた。なお、被告人が犯した具体的な罪状や原審の刑期等の詳細は本判決文からは不明である。
あてはめ
最高裁判所は、法定刑の範囲内での量刑および実刑の選択については、既に確立された大法廷判決(昭和23年6月23日判決等)の趣旨に照らし、憲法違反を構成しないものと判断した。記録を精査しても、刑訴法411条を適用して原判決を破棄すべき著しい不当性は認められないとされる。
結論
法定刑の範囲内の量刑は憲法36条および37条1項に違反しない。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
量刑不当を憲法違反の問題にすり替えて上告する手法を否定する実務上の基準を示す。刑事訴訟における量刑の裁量権の幅広さを確認する際に参照されるが、事実上、量刑不当は上告理由(刑訴法405条)には当たらないことを憲法的側面から補強する判決である。
事件番号: 昭和27(あ)4296 / 裁判年月日: 昭和28年3月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑の判断において被告人の既往の犯罪経歴を参酌することは、単に量刑の事情として考慮するに止まる限り、憲法39条後段の二重処罰の禁止には反しない。 第1 事案の概要:被告人の刑事裁判において、原判決(二審)が第一審判決の量刑の当否を判断するに際し、被告人の既往の犯罪についての経歴を参酌した。これに対…