所論Aの手紙は論旨主張(第一審相被告人Bの単独犯である旨)のとおりであるとしても、第一審相被告人Bの本件事実関係に関する告白についての伝聞を内容とするに過ぎないものであるから、刑訴四三五条六号にいわゆる、新たに発見された「無罪を言渡し、又は原判決で認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠」に該当するものではない。
刑訴第四一一条第四号第四三五条第六号に該当しない例
刑訴法411条4号,刑訴法435条6号
判旨
再審請求における「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」(刑訴法435条6号)の該当性判断において、共犯者の供述についての伝聞を内容とする証拠は、それ自体では証拠の明白性を欠くと判断された。
問題の所在(論点)
刑訴法435条6号の「明らかな証拠」として、共犯者の告白を伝聞した内容に過ぎない書面が認められるか。
規範
刑訴法435条6号にいう、新たに発見された「無罪を言い渡し、又は原判決で認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠」に該当するためには、その証拠が確定判決の事実認定を覆すに足りる客観的な明白性を有していなければならない。
重要事実
被告人が再審を請求するにあたり、共犯者であった第一審相被告人による本件犯行事実に関する告白についての伝聞内容が含まれた第三者(A)の手紙を新証拠として提出した事案。
事件番号: 昭和26(れ)2239 / 裁判年月日: 昭和27年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白のみで有罪とすることは憲法38条3項及び刑訴法319条1項により禁じられるが、自白以外の補強証拠が存在し、かつ自白の任意性が認められる場合には、有罪判決の基礎とすることができる。 第1 事案の概要:被告人両名(うち1名はA)に対し、一審及び二審において有罪判決が下された。被告人側は、当…
あてはめ
提出されたAの手紙の内容は、第一審相被告人Bが本件の事実関係について告白した内容を伝聞した形式をとるものである。このような伝聞を内容とする証拠は、供述の真実性が間接的であり、確定判決において認められた事実を覆して無罪またはより軽い罪を認めるべき高度の蓋然性を有する証拠とは認められない。
結論
共犯者の告白を内容とする伝聞証拠は、刑訴法435条6号にいう「明らかな証拠」には該当しないため、再審の事由とは認められない。
実務上の射程
再審における証拠の明白性の判断において、伝聞証拠は原則としてその明白性が否定されやすいことを示している。答案上は、再審の要件検討において、証拠の新規性のみならず、その証拠価値(明白性)を厳格に判断する際の具体例として活用できる。
事件番号: 昭和46(あ)707 / 裁判年月日: 昭和48年9月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】捜査官に対する自白の任意性が肯定される場合、憲法38条2項に違反せず、その供述調書は証拠能力を有する。 第1 事案の概要:被告人がAを殺害し死体を遺棄したとされる事案において、被告人は捜査官に対し犯行を認める供述を行い、その内容が供述調書として作成された。弁護人は、当該供述調書について憲法33条、…
事件番号: 昭和27(あ)5163 / 裁判年月日: 昭和29年3月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】任意性に疑いのある自白は証拠能力を欠くが、被告人及び弁護人が同意し、かつ記録上任意にされたものでないと疑うべき理由がない場合には、証拠とすることができる。 第1 事案の概要:被告人が司法警察員に対して行った各供述(自白調書及び上申書)について、弁護人は取調官による暴行、強制、誘導に基づいたものであ…