判旨
刑事裁判において、共同被告人の供述は互いに補強証拠となり得る。また、権利質問終了後、証拠調べ開始前に裁判官が被告人に対し公訴事実について質問することは違法ではない。
問題の所在(論点)
1. 共同被告人の供述は、他の被告人の自白に対する補強証拠となり得るか。2. 権利質問終了後、証拠調べ開始前に裁判官が被告人へ公訴事実を質問することは許されるか。
規範
1. 憲法38条3項および刑事訴訟法319条2項にいう「補強証拠」について、共同被告人の供述は、互いに他の被告人の自白の補強証拠となり得る。2. 刑事訴訟法291条の権利質問等の手続終了後、証拠調べに入る前に裁判官が被告人に対し公訴事実について質問することは、適法な訴訟手続である。
重要事実
被告人両名が食糧管理法違反で起訴された事案。第一審の第一回公判調書において、被告人両名が公訴事実について供述を行った。裁判所はこの両名の供述を総合して事実を認定したが、弁護人は「共同被告人の供述は互いに補強証拠にならない」ことや、「証拠調べ前の質問は違法である」こと等を理由に上告した。
あてはめ
1. 補強証拠の適格性について、判例(大法廷判決等)によれば、共同被告人の供述は互いに補強証拠となり得ると解される。本件において第一審が被告人両名の公判供述を総合して事実認定を行ったことは、この法理に照らして正当である。2. 訴訟手続の適法性について、刑訴法291条の手続(冒頭手続)完了後、証拠調べ開始前の段階で裁判官が被告人に質問を行うことは、判例上認められた適法な運用である。
結論
共同被告人の供述に補強証拠としての適格性を認め、また証拠調べ前の被告人質問を適法とした原判断に誤りはない。本件上告を棄却する。
実務上の射程
事件番号: 昭和27(あ)194 / 裁判年月日: 昭和28年4月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者の自白は、被告人自身の自白に対する補強証拠となり得る。共犯者の供述により被告人の自白の真実性が担保される限り、憲法38条3項の補強証拠として許容される。 第1 事案の概要:被告人らは、強制や拷問による自白であると主張し、また自白以外に有罪の証拠がないと主張して上告した。原審においては、被告人…
自白の補強証拠の範囲に関する重要判例である。答案上は、共犯者の供述が「本人の自白」に含まれないことを前提に、補強証拠としての適格性を肯定する根拠として引用する。また、冒頭手続と証拠調べの境界における裁判所の釈明や質問の限界を検討する際の参照点となる。
事件番号: 昭和24(れ)638 / 裁判年月日: 昭和24年8月9日 / 結論: 棄却
共同被告人の供述も本人の自白を補強する證據となり得ること、當裁判所の判例(昭和二三年(れ)第一一二號、同年七月一四日大法廷判決)に示されている通りである。
事件番号: 昭和27(あ)2889 / 裁判年月日: 昭和28年6月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が第一審において証拠とすることに同意した供述調書について、任意性に疑いがない限り、証拠能力を認めた原判断に憲法違反や違法はない。 第1 事案の概要:経済調査官が作成した供述調書について、第一審の公判手続において被告人側が証拠とすることに同意していた。その後、上告段階において、当該調書を証拠と…
事件番号: 昭和26(れ)683 / 裁判年月日: 昭和26年11月30日 / 結論: 棄却
原判決が、判示第六の犯罪事実認定の証拠として、被告人の原審並に第一審公判における自白の外、Aに対する司法警察官の聴取書を掲げたのは、これを以て右被告人の自白を補強するためであつて、右聴取書におけるAの供述がその内容の全部に亘つて、右被告人の自白と符合するものではないとしても、少くとも、その外形的事実―例えば同人が自転車…