判旨
判決書の冒頭に被告人の前科を記載したとしても、それのみをもって裁判所が予断を抱いて事実を認定したものと推定することはできない。
問題の所在(論点)
判決書の冒理(冒頭部分)に被告人の前科を記載することが、裁判官が予断を抱いて事実認定を行ったという手続上の違法(予断排除原則の潜脱等)を構成するか。
規範
判決文の構成や記載順序のみから、裁判官が証拠に基づかない不当な予断をもって事実認定を行ったと直ちに推認することはできない。事実認定の妥当性は、判決において掲げられた証拠との関係で判断されるべきである。
重要事実
被告人の有罪を認めた第一審判決において、判決文の冒頭部分に被告人の前科が掲げられていた。これに対し弁護人は、前科を冒頭に掲げることは裁判所が予断を抱いて事実認定を行ったことを意味し、事実認定手続として違法であると主張して上告した。
あてはめ
判決書において前科が冒頭に掲げられているという形式的理由のみでは、予断に基づく認定があったとは推定されない。本件の第一審判決を検討すると、判示事実は掲げられた多数の証拠に基づいて認定されていることが明らかである。したがって、前科の記載順序が事実認定の公正さを損なったとはいえない。
結論
判決の冒頭に前科を掲げたとしても、証拠に基づく適正な事実認定がなされている限り、直ちに予断を抱いた違法な認定とは認められない。
実務上の射程
起訴状一本主義(刑訴法256条6項)等の予断排除原則は、公判審理の段階で裁判官に偏見を抱かせないための規律である。本判決は、判決書作成時(審理終了後)の記載順序が直ちに認定の違法に結びつかないことを示しており、事実認定の違法を主張する際は、形式的な記載順序ではなく証拠と事実の論理的関連性を争うべきことを示唆する。
事件番号: 昭和24(れ)2420 / 裁判年月日: 昭和25年2月14日 / 結論: 棄却
復權は有罪の言渡を受けたために喪失し又は停止された資格を回復するに止まり、刑の言渡の効力を失わせるものではないから、前科ある者が復權しているからとて、これに對し累犯加重の刑を科する妨げとはならない。